EUROを席巻するイタリアの“進化版カテナチオ” 相手を自陣PA内に侵入させない鉄壁の守備
明確だったタックルとクリアの位置
スペインがそうせざるを得なかったイタリアの守備データを、改めて見てみたい。
タックル数は両チームとも激しさを増した後半に集中しているが、数、成功率はほぼ一緒だ。大きく異なるのがクリア数とインターセプト数だ。ドイツやスペインといったパスをつなぐチームのクリア数は少ない。ボールキープに自信のあるチームは、たとえ自陣深いエリアであっても、奪ったボールを簡単に相手に渡すプレーを嫌がるからだ。しかし、イタリアはピンチの芽を絶つプレーを割り切って行っている。ペナルティーエリア内での危ないボールは、全て「蹴り出す」。しかしインターセプト、タックルに関しては危険なエリアへの侵入直前で断ち切っている。
次のデータを見てもらいたい。緑の△が成功したタックル、青の△がインターセプトを示す。自陣ペナルティーエリア侵入前、あるいは侵入を目指すパスをしっかりと断ち切っているのがよく分かる。
一方、クリアは明確だ。自陣ゴール近い位置でピンチだと感じた時は躊躇なく蹴り出しているのが分かる(紫の△)。
対するスペインは、本当に危なそうなゴールエリア周辺まで、クリアは避けているようだ。
ユーロ3連覇の夢を断ち切ったイタリアの次の相手は、2014年ブラジルW杯王者のドイツだ。スペインのパスサッカーに加えて、速さと攻撃の効率性をも兼ね備えるハイブリッド型のドイツに、「Nuovo Catenaccio(最新のカテナチオ)」がどのように立ち向かうのか注目だ。
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データ提供元:opta
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フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images