デル・ピエロの眼 凋落のイタリア代表がEUROで復権を果たした3つの理由とは

負傷者続出も布陣変更は「絶対にダメ」

 そして、準々決勝の対戦相手である2014年ブラジルW杯優勝国ドイツを「最も強いチームだ」と評価している。

「彼らには若さがあり、それがチームにフィットしている。ワールドカップも勝ち取ったね。そして、ドイツが築き上げてきた信頼性がある。間違いなく、イタリアにとって大会の中で最も難しい試合だ。最も警戒するべきは(トーマス・)ミュラーだ。まだその全てを発揮していないように見えるが、彼の才能はゲームを変えてしまう。素晴らしいGKがいて、ディフェンスも素晴らしい。攻撃陣は交代選手も含めてバリエーションがある。だが、一番の強みは中盤だね」

 バイエルンのエースで独特な決定力を誇るミュラーを最大のキーマンに挙げた。このドイツ戦に臨むイタリアは、3人のセンターハーフの中央を務めてきたデロッシが故障で出場が危ぶまれ、代替選手であるMFチアゴ・モッタも累積警告で出場停止になった。ボランチ不在の異常事態に、コンテ監督はシステムを変更していくべきなのかと問いかけられると、デル・ピエロ氏は「絶対にダメだ」と強く否定した。

「もしそうすれば失敗するように思うね。ここまでの戦いで財産を得てきているのだから、チームのバランスを変更する必要はない。10人は今までの中にいた選手で、11人目を加えるというだけだ。イタリアは自信とオートマティズムを手に入れながら戦ってきたんだ。それを手放すなんてありえない」

 かつてのファンタジスタの言葉には、説得力が帯びていた。

 

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