デル・ピエロの眼 凋落のイタリア代表がEUROで復権を果たした3つの理由とは
謙虚さ、団結力、リーダー役の求心力
かつてイタリアで輝きを放ったファンタジスタは、ビッグトーナメントを勝ち抜くためには何よりもチームの団結が必要だと力説している。2006年のドイツ・ワールドカップ(W杯)を、イタリア代表の一員として制したアレッサンドロ・デル・ピエロ氏が、イタリア紙「コリエレ・デラ・セーラ」のインタビューに応じている。
デル・ピエロ氏はイタリア衛星放送局「スカイ・イタリア」のコメンテーターとして、EUROの解説をしている。先日はスタジオ内でアシスタントの女性とリフティングに興じ、足を滑らせて転びながらも続ける、色褪せぬ“技術”を見せつけたファンタジスタは、準々決勝に進出したアントニオ・コンテ監督率いるイタリア代表の強さと、代表チームに求められるものについて語った。
「代表チームというのは、タレント力ではないんだ。何よりも団結力、粘り強さ、選手の性格面が求められる。そして、大切なことは『自分たちがアウトサイダーだ』と認識することだ。ブラジル代表なら6人から7人のタレントの力ですべてを解決できるかもしれない。だが、イタリアはそうじゃない。とにかく、チームになることが必要なんだ。そして、すべてを決断する監督と、ロッカールームでリーダーになれる選手たちを兼ね備えるチームが、何かを勝ち取ることができる」
個のタレントではGKブッフォン、DFバルザーリ、キエッリーニ、ボヌッチという鉄壁なユベントスブロックを形成するイタリア代表だが、それ以外のポジションは世界のトップクラスに遠く及ばない。セリエAは欧州のトップリーグからかけ離れてしまったが、自分たちについて戦力下位と認める謙虚さ、コンテ監督がまとめ上げた鉄の団結力、リーダーシップを持った百戦錬磨のベテランという躍進の条件を、今大会のイタリアは手にしているという。38歳のブッフォンやダニエレ・デロッシというリーダーの求心力が、違いを醸し出すという。そして、16強では3連覇を狙う無敵艦隊のスペイン代表を完膚なきままに叩きのめしていた。