元日本代表MF水野晃樹が味わった挫折 大ブーイングのJ復帰戦で靭帯断裂――代名詞のスピードを失ってもプロで生き残れた理由
【インタビュー#3】水野晃樹に訊く大怪我後の自分との向き合い方
現在、社会人リーグのはやぶさイレブンで現役生活を続けている元日本代表MF水野晃樹のキャリアにおいて、切っても切り離せないのが怪我との闘いだった。膝の故障が影響し、自慢のスピード豊かなドリブル突破も威力が失われ、いつしか武器はなくなっていた。それでも前に進み続けた水野は、怪我による挫折とどう向き合ってきたのだろうか。(取材・文=Football ZONE web編集部・橋本 啓/全4回の3回目)
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初の海外移籍となったセルティック時代、水野は膝の怪我を負い、2度の手術を経験。芝がはがれやすいピッチコンディションでのプレーに慣れず、足を取られてしまったことが原因だった。
結果的に、この故障が後のキャリアへと響いた。セルティックで思い通りの結果を残せぬまま、出番を求めて2010年夏に日本へ復帰。当時J2にいた柏レイソルへ加入し再起を期していた矢先、思わぬアクシデントに見舞われてしまう。
「向こう(スコットランド)では右膝の軟骨を除去する内視鏡手術をして、その1年後には逆足もやりました。左足に関しては軟骨がすり減ってるせいで骨挫傷になってしまい、一旦復帰したんですけどまた3か月戦列から離れて、それが癒える前に日本復帰を決断したんです。
そこからレイソルに加入して、コンディションを少しずつ上げていたなかで、ネルシーニョ監督(当時)から『試合に出てコンディションを上げる方法もあるから、次の試合で使うからな』って言われて。それが古巣のジェフとの試合だったので、日本復帰戦は大ブーイングですよ。
海外へ行く前、僕はジェフに帰るという話をしていたので。それも契約の問題でなくなってしまいレイソルに入ったんですけど、そんななかでプレーしていて、試合終了残りわずかで右膝の前十字靭帯断裂。
痛みにはわりと強いほうなので、最後まで断裂していることに気づかないままプレーしていたんですよ。試合が終わった後、膝が腫れてきておかしいとなって。切れていたら動けないから大丈夫だって周りの選手からは言われて安心していたなかで、前十字靭帯断裂という診断でした。
そこからですね、一気にそれまでのスピード感がなくなったのは。全盛期はイメージで言うと、100%から120%までのギアがあったんですよ。それがなくなっちゃったんですね。一定のスピードしか出なくなっちゃった感じです。それが自分の中で痛かったです」