「サッカーの見方が180度変わった」 東大・林監督、解説者との二刀流で磨かれた能力とは?

より選手に近い目線で語れるのも林監督のオリジナリティー

 林監督といえば生粋のサッカーマニアとしても知られ、監督業の傍ら配信サービス「DAZN」の試合中継で解説者を務める姿もお馴染みとなっている。マンチェスター・ユナイテッド対アーセナル(現地時間12月2日/3-2)のようなビッグマッチを担当する機会も増えた。

 監督をするうえで、解説者との“二刀流”が仕事に生かされる部分はあったのだろうか。質問をぶつけると、林監督はこの2つが「Win-Winの関係」にあると答えた。

「監督としてサッカーの勉強をしていると『自分たちのシステムがこうで、相手のシステムがこうで、こういう噛み合わせになって…』と考えるようになります。すると相手の強いところ、弱いところがどこなのか見えるようになって、それが解説に生きてきます。去年まではどちらかといえば選手個人に目がいっていたものが、今はチーム全体を見て、戦術的な部分をより強く意識するようになりました。結果として、サッカーの見方は180度変わりました。監督は自分の考えをしっかりと言語化して選手に伝える必要がありますが、そこは解説者として話すことで力が付いていったように思います。本当にWin-Winの関係ですよ(笑)」

 また、つい1年前まで第一線で活躍していたこともあり、より選手に近い目線で語れるのも林監督のオリジナリティーの部分となっている。

「解説をする時には戦術的な目線も持ちつつ、選手目線でも話せる。細かい技術的のところも自分が実際に経験してきたからこそ、どれだけの難易度かが分かる。それが僕の解説者としての強みの部分です。戦術に関するいろいろな記事を見ますけど、選手目線と俯瞰から見るのでは違う部分もあります。戦術ボード上には時間の概念が含まれていないですし、ボードだけですべてを説明することはできませんから」

 監督から解説者、解説者から監督。それぞれの仕事が双方向に影響を及ぼし、サッカーを見る力、言語化する力がより磨かれていったという。

 来季、東大ア式蹴球部は東京都2部から再びの1部昇格を目指す戦いに挑む。2季目を迎える林監督の手腕に注目だ。

[PROFILE]
林陵平(はやし・りょうへい)/1986年9月8日生まれ、東京都出身。明治大―東京V―柏―山形―水戸―東京V―町田―東京V―群馬。2020年に現役を引退し、21年1月に東京大学運動会ア式蹴球部の監督に就任。監督業の傍ら、解説者としても精力的に活動している。

(石川 遼 / Ryo Ishikawa)

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