大切にした子どもたちとの交流 元日本代表DF槙野智章が示したプロサッカー選手の“あるべき姿”
ファンサービスでは2時間以上を費やすことも「自分にとっては嬉しい時間ですよ」
J1浦和レッズの元日本代表DF槙野智章は、契約満了が発表されて今季限りで10シーズン在籍したクラブを離れることが決まっている。ピッチ上での熱いプレー、またピッチ外で話題を作ろうとする姿勢だけでなく、一貫していたのは子どもたちへの優しい姿だった。
槙野はサンフレッチェ広島の下部組織からトップ昇格し、その後にドイツ1部ケルンへ移籍。広島時代の恩師ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(現・北海道コンサドーレ札幌監督)が浦和に就任した2012年に、出場機会に苦しんでいたケルンからの期限付き移籍という形で浦和にやってきた。そして、翌年には完全移籍で浦和の一員になった。
現在は新型コロナウイルスの影響で中止されているが、浦和は多くのファン・サポーターのいるクラブだけに、ファンサービスの日を設定していた。それが、埼玉県民の日と重なった時には約500人がトレーニング場である大原サッカー場に詰めかけたことがあった。トレーニング終了後、各選手はファンサービスを行い、それを終えた選手たちが取材対応をしていくが、槙野だけがずっと戻って来なかった。
すると、サインをもらいに来たサポーター1人1人と、必ず何かしらの言葉を交わしている槙野の姿があった。特にサッカーボールを持っているような子どもたちから「どうやったらサッカー上手くなれますか?」という質問を受けると、嬉しそうに笑顔でコミュニケーションを取って記念撮影もする。そうやって対応しているから、気が付けば2時間以上が経っていた。それでも「自分にとっては嬉しい時間ですよ」と疲れも見せずに話していた。
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