“迷将”ホジソンが演じた歴史的大失態 イングランドを16強敗退に追い込んだ不可解な采配の数々とは
戦犯の指揮官は辞任を表明も…
さらにこの試合でFKのキッカーを務めたのは、初戦でCKのキッカーを務めたことが物議を醸したケイン。プレースキッカーが本職でないケインは、この日も初戦同様にプレースキックから質の高いボールを供給できず、ことごとくチャンスを逸していた。FKを合わせる側からしても、188センチと高さに恵まれたケインを中に配置しないことで、ボックス内での迫力が決定的に欠けた。
スコアを動かせぬまま試合終盤を迎えても、ホジソン監督は交代カードを1枚残したまま、頭を抱え呆然とピッチを眺める時間が続いた。そして試合終了まで残り3分の段階で、慌ててFWマーカス・ラッシュフォードを投入。わずかな出場時間のなかで左サイドから果敢な突破を見せ、停滞していたイングランドでチャンスを演出。元イングランド代表ジェイミー・キャラガーは、ツイッターで「この試合のMVPはラッシュフォードだった」と発言し、起爆剤の投入が遅すぎたことを憂いた。
ホジソン監督は試合終了後のインタビューで辞任を表明。イングランドサッカー協会もこれを受け、即座に退任を支持する声明を発表した。イングランドの英雄であるギャリー・リネカー氏は、ホジソン監督について「彼は人格者で威厳のある男だが、格下アイスランドに負けたことは永遠に国民の頭から離れることはないだろう」とツイート。68歳のイングランド人指揮官が残してしまった歴史的敗戦の重さを口にした。アイスランドが中3日でこの一戦に臨んだのに対し、イングランドは中5日と、休息と対策が十分にできる時間があったなかで、アイスランドの得意な形で得点を与えるなど、戦術の隙も数多く露呈し、言い訳のできない敗戦となってしまった。
今大会は優勝候補の1つに挙げられていた“スリーライオンズ”は、最後まで迷走から抜け出せず、格下相手に土をつけられるという最悪な結末を迎えて、国民の期待を大きく裏切ることとなってしまった。
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ゾーンウェブ編集部●文 text by ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images