クロアチアが崩せなかった“苦手”ポルトガルの牙城 枠内シュート「0本」につながったサイド偏重の攻撃
カウンターの餌食になった単調なサイド攻撃
アタッキングサードでの攻撃ゾーンを見ると、両者の攻撃の特徴がはっきりと分かる。
クロアチアは50%弱が右からの攻撃で、中央はわずか14.6%だけだ。それと比較してポルトガルは左右のバランスが良く、中央からの攻撃の割合がクロアチアの約2倍になっていた。
よほど、クロスの精度が高く、中央に高さを兼ね備えたストライカーを擁していない限り、単純なサイド攻撃は簡単には機能しない。むしろ奪われた後に、カウンターのリスクを背負うことになる。ロナウドのようなストライカーが相手の攻撃時に残っていれば、なおさらそのリスクは高まる。
守備のデータを見ると、タックルとその勝率はクロアチアが高いが、クリア数、インターセプト数はポルトガルが圧倒している。クリア後のプレー、インターセプト後のプレーで何が起こるか想像すると、クロアチアのパスやオープンクロスという本来攻撃的なプレーが、この試合においてはポルトガルの餌食になっていたように思える。
今大会のグループステージで充実ぶりを示していたクロアチアも、過去の相性には勝てなかった。各国のサッカースタイルが確立されているEUROの戦いにおいては、過去の歴史はそれなりの意味を持つのかもしれない。
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ゾーンウェブ編集部●文 text by ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images