さすがショッピングの街 ミランが本田ら「コストゼロ軍団」で買い物上手に名門復活を狙う
本田の活躍が非難の的となったCEOを救う
ACミランの主力を移籍金ゼロで獲得する補強戦略が、イタリア国内で「コストゼロ軍団」と報じられた。イタリア地元紙「コリエレ・デロ・スポルト」が、「ミランの選んだ戦略。ミラネッロにはコストゼロでつくったチームがある」と特集している。
記事では「本田の爆発的な活躍の後、ガリアーニには靴の中の小石を取ることができた」と記している。
ミランの強化責任者であるアドリアーノ・ガリアーニCEOは、本田の大活躍でストレスから解放されたというのだ。小石とはサポーターや、メディアからの不平不満の声を意味する。日本代表MF本田圭佑の今季公式戦6試合で4得点2アシストを喜ぶCEOは、皮肉交じりにこう語った。
「みんな(本田に)実力ないって言ってたでしょ?」
ミランは本田、元フランス代表FWジェレミー・メネズ、DFアレックス、GKディエゴ・ロペスら移籍金ゼロで獲得した選手の多くが主力を担っている。この契約満了の選手ばかりを獲得するエコノミー路線を非難の対象となってきた。だが、ガリアーニ氏は「コストがかかっていない、と言われることは、本当に気分が悪かった。技術がない、サッカーができない選手たちだって言われてきた」と吐き出す。
現在のミランはコストの削減を強いられ、契約が切れる選手や、ユースから育った選手たちで構成されている。フェルナンド・トーレスもチェルシーとの良好なクラブ関係により、コストをかけずに獲得できた。イタリア代表MFリカルド・モントリーボもフィオレンティーナとの契約満了により、移籍金ゼロで加入した。サリー・ムンタリも2012年インテルからレンタルで獲得し、インテルとの契約満了に伴い、完全移籍で獲得した。さらに、アバテ、デシリオというイタリア代表の両サイドバックは、ユース出身の選手だ。
英プレミアリーグやドイツブンデスリーガと資金面で大きく差をつけられたセリエAは、欧州内での競争力を失っている。昨季リーグ8位に低迷し、今季欧州のカップ戦出場権を持たないミランの“コストゼロ政策”は非難されてきた。だが、今季は、フィリッポ・インザーギ新監督の情熱的な指導により、本田やメネズが再生するなど、チーム状況はポジティブな方向に大きく変化しつつある。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web