浦和DF宇賀神、葛藤と本音を告白 「『僕じゃないんじゃないですか?』と話をしに行こうと」

強い気持ちでピッチへ「自分を契約満了にする決断をした人たちを見返してやると」

 そして、そのゲームでは対面した気鋭のドリブラーMF坂元達裕に対して距離感を調整しながら守る、経験のある選手ならではのプレーを見せる。そして前半29分、浦和が右サイドから敵陣に入り込み、クロスがファーサイドに流れたところを確保したMF明本考浩が丁寧なバックパスを送ると、フォローアップした宇賀神が右足の低くコントロールされたシュートをファーサイドに突き刺した。

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 この時に右サイドでオフサイドのように見えたプレーがったことや、さらには明本がボールを落ち着ける前にシュートを空振りしたこともあり、「オフサイド・ディレイでオフサイドを取られるんじゃないかという気持ちがあったので、それでリラックスして打てた部分もあるし、明本もわざと空振りしてくれたと思うんですけど、そこで時間ができたのが大きかったですね」と少し照れ臭そうに振り返る。それでも「足に当たった瞬間に入る軌道が見えていました」と、確信の一撃だった。

 後半16分に交代でピッチを下がる時の大きな拍手を、宇賀神は「イエローカードをもらったので仕方ないのかなと思うけど、まだまだピッチに立っていたかった。正直、悔しいなという気持ちもありつつ、こんなに拍手を受けてピッチを去るのは12年間で初めてじゃないかな」と振り返る。それでも、「悪い言い方になるかもしれない、そんなこと言う必要もないと言われるかもしれないけど」と言いつつも、あえて言葉にした一言が、浦和で生き残ってきた矜持を示した。

「自分を契約満了にする決断をした人たちを見返してやると、間違っていたと証明してやるという強い気持ちを持ってピッチに立ちました」

 トップ昇格できずに流通経済大で力を蓄えた時と変わらない反骨心が原動力。3年前の天皇杯決勝ベガルタ仙台戦では、決勝ミドルを決めた。常にと力を積み重ねて、浦和の歴史とタイトルの重みを知る男の一撃は、若手の増えたチームに力強いメッセージを送った。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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