Jリーグ創成期を支えた史上屈指のブラジル人CB 心に刻まれた日本での忘れられない”3つの瞬間”

ジーコのチャリティーマッチに参加した際の様子【写真:藤原清美】
ジーコのチャリティーマッチに参加した際の様子【写真:藤原清美】

名古屋・日本のサポーターに感謝「みんなを恋しく思っている」

 トーレスは日本人のチームメイトたちとの友情も築いた。

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「山口(素弘)のプレーを見るのが好きだった。あの技術、才能、インテリジェンス、ピッチの中での姿勢。美しく、かつ効果的だったプレースタイル。当時、日本最高の選手だった。いろんなインタビューでも、いつでも彼を称えたものだよ」

 友情について語り始めると、その口調に喜びがあふれる。

「サッカー以外で一番嬉しい想い出は友情だ。チームメイトはもちろん、クラブの人たちや、街の人たちともそう。日本であんな風に多くの友だちができたことは、驚きでもあった。いい隣人たちもいて、特にウエダさん一家は、僕と家族にとって、すごく大切な存在だった。名古屋には僕らの幸せな人生があった。妻は、もう1年いたいと言っていたほどだ。でも、それもサッカー。名古屋を去ったのは、プロとしての決断だった。今は、もっといられたら良かったと思うよ(笑)。でも当時は、できることはすべてやった。サポーターが満足してくれている時に、そのエネルギーを置いていこうと思ったんだ」

 トーレスは最後にメッセージを残してくれた。

「名古屋のサポーターのみんな、日本のみんなに、ありがとうと言いたい。何度言ったとしても、伝え続けたいんだ。あれほど大きな愛情を持って受け入れてくれたことへの感謝をね。僕はプロとして真摯な姿勢を持ち、名古屋のシャツのために戦った1人の選手。いつでもみんなを恋しく思っているよ。そして、みんなに幸多いことを願っている。みんなは、その幸せにふさわしい人たちなんだから。親愛をこめて。ドウモアリガトウ」
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(藤原清美 / Kiyomi Fujiwara)

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藤原清美

ふじわら・きよみ/2001年にリオデジャネイロへ拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特に、サッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のテレビ・執筆などで活躍している。ワールドカップ6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTubeチャンネル『Planeta Kiyomi』も運営中。

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