アーセナル冨安の“顔面踏まれ”被害、なぜ退場にならなかったのか 元レフェリーが解説「疑いの要素がある」…VARの限界も指摘

アーセナルの日本代表DF冨安健洋【写真:Getty Images】
アーセナルの日本代表DF冨安健洋【写真:Getty Images】

エバートンDFに冨安が顔をスパイクで踏まれる一幕、物議を醸すも最終的に処分なし

 イングランド1部アーセナルの日本代表DF冨安健洋は、現地時間12月6日に行われたプレミアリーグ第15節エバートン戦(1-2)でDFベン・ゴッドフリーに顔をスパイクで踏みつけられる一幕があった。ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)チェックを経てもゴッドフリーは処分なしとなり物議を醸しているが、プレミアリーグの元レフェリー、ダーモット・ギャラガー氏がこの判定について解説している。英衛星放送「スカイ・スポーツ」が報じた。

 アーセナルはノルウェー代表MFマルティン・ウーデゴールの得点で前半終了間際に先制するも、後半に逆転を許し1-2で敗北。前節マンチェスター・ユナイテッド戦(2-3)に続く連敗を喫した。

 そのなかで話題になっているのが前半28分過ぎのワンシーン。冨安がタッチライン際での競り合いでピッチに倒れた直後、DFゴッドフリーに右足で顔面を踏まれる格好となった。VARによるレッドカードの可能性のチェックが入るも、処分はなかった。

 解説の元イングランド代表DFギャリー・ネビル氏が「100%、故意のファールだった」と語り、ゴッドフリーは退場すべきだったと主張するなど、冨安への危険なタックルはレッドカードに相当するものだとして議論の対象となっているこのシーンだが、プレミアリーグの元主審であるギャラガー氏は「私にとってはノーですが、イエス(レッドカード)だと言う人は多いでしょう。昨晩から今朝に掛けて私はたくさんの人と話しましたが、さまざまな感情が入り混じっていました」と語り、退場処分とならなかった理由について解説している。

「私がノーと言う理由は、疑いの要素があるからです。顔面を踏みつけた状況については選手本人にしか分からないという考え方を私は常にしてきました。映像を見る限りは、あのチャレンジはとても良くないものに見える。彼の足は下がっていますが、どこかで足は下がらざるを得ません。彼を擁護するとすれば、目を逸らしています。これはわざと目を逸らしているという人もいるでしょう。しかし、それによって私の考えは少し揺らぐのです」

 ギャラガー氏はゴッドフリーの踏みつけが意図的かそうでないかを見極めるのができないため、ここではレッドカードが出されることはなかったと話している。

「彼(VARのスチュアート・アットウェル氏)は長い時間をかけて検討し、私と同じく確信がないという見解を示したのだと思います。それによって彼は処分なしという判定にしなければならなかった。残念ながらこの場面ではレッドカードか何もなしかの2つに1つしかない。イエローカードやフリーキックにするという規定はない。だからアットウェルは座ったままだった」

 ギャラガー氏は審判団の判定を支持していた一方で、「このプロセスの残念なのは中間点がないところだ」と、VARによるチェックの限界についても意見を投じていた。

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