久保建英は”レギュラー”になれる? アトレティコ戦ヒーローに現地記者の見解

アトレティコ戦でゴールを決めたMF久保建英【写真:Getty Images】
アトレティコ戦でゴールを決めたMF久保建英【写真:Getty Images】

【スペイン発コラム】アトレティコ戦で今季初ゴールを挙げて完全復活

 スペイン1部マジョルカの日本代表MF久保建英は、9月22日のリーガ・エスパニョーラ第6節レアル・マドリード戦で負傷した右膝の2か月にわたるリハビリを経て、11月27日の第15節ヘタフェ戦で戦列復帰した。しかし、続く国王杯1回戦ヒムナスティカ・セゴビアーナ戦は、セグンダRFEF(4部)に所属するクラブのホームでの滑りやすいピッチコンディションと膝の具合が懸念され、ベンチ入りしたものの出番はなかった。

 久保にとって、12月4日の第16節で対戦したアトレティコ・マドリードは、比較的相性のいい相手だった。過去2シーズンに出場したアトレティコ戦の成績は1分2敗だが、特にスペイン初年度となった2シーズン前のマジョルカ時代、チームが2連敗したなか、久保はいずれもフル出場して高い評価を受けていたのである。

 また、スペイン紙は試合前、「もしゴールを決めればレアル・マドリードに大きな利益をもたらすことになる」と、久保がレアル・マドリードの一員であることを強調していた。

 そんななか、久保はアトレティコ戦で怪我明け後、リーガ2試合連続でベンチスタートとなり、ピッチに入ったのは0-1の劣勢だった後半29分。4-2-3-1の右サイドハーフに入るとすぐにゴールへの意欲を見せ、ペナルティーエリア外から積極的にシュートを打っていった。

 しかし後半35分、韓国代表MFイ・ガンインのFKからDFフランコ・ルッソが同点にしたことで、ルイス・ガルシア監督は1-1のスコアを維持することを優先して守りを固めたため、久保も守備に追われてあまりボールに触れず、攻めに転じることができなくなった。

 マジョルカが粘り強くアトレティコの攻撃をしのぎ続け、あとは試合終了のホイッスルが鳴るだけと思われた後半アディショナルタイム、決定的なチャンスがマジョルカに訪れる。ホームで勝ち点3が欲しいアトレティコが前がかりになった一瞬の隙を突いた久保は、ボールを頭でつないだ後、前線に素早く駆け上がり、FWアンヘル・ロドリゲスの正確なスルーパスをアトレティコのディフェンスライン裏で受け、ドリブルでペナルティーエリア内に侵入し、GKヤン・オブラクとの1対1を見事に制した。

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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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