ステージ優勝を逃し川崎の“無冠の呪縛”は継続 それでも中村憲剛の目に失意が宿らぬ理由
川崎勝利も鹿島がファーストステージ制覇
夕暮れ時の等々力陸上競技場に、大宮アルディージャ戦のスタメンの一員として川崎フロンターレの象徴である背番号「14」の名前が呼ばれると、スタジアム全体を大歓声が包み込んだ。今季ホーム最多2万6612人の観衆が詰めかけた25日のファーストステージ最終節、全てのサポーターが負傷離脱していたキャプテンの復帰を、そして川崎の悲願の初タイトルを心待ちにしていた。
MF中村憲剛は、1週間前に行われた第16節アビスパ福岡戦を腰痛により欠場した。勝てばステージ優勝に王手がかかる一戦の命運を仲間に託した。しかし、結果は2-2のドロー。最終節を目前に、第12節から死守してきた首位の座を鹿島アントラーズに明け渡してしまった。この試合が今季のリーグ戦で唯一、中村が欠場した試合だったが、最下位の福岡相手に致命的な勝ち点1止まりとなった。
そのなかで迎えたホームでの第17節。先発に名を連ねた中村は、「福岡戦の責任を強く感じていた」と、より一層の気迫を持って試合に臨む。
序盤から大宮守備陣は中村に激しいチャージを仕掛け、二度、三度とピッチに転倒するシーンが続いた。しかし前半22分、敵陣で相手のパスをインターセプトすると、間髪入れずに前線へスルーパス。裏に抜け出していたFW大塚翔平がボックス右でボールを受けると、冷静にゴール左隅に流し込み、先制点を奪った。中村はすぐさま大塚に駆け寄り、頭を3回叩いて今季初ゴールを祝った。
この試合、中央が本職の中村が左サイドハーフに配置されていたが、先制点の場面について試合後、「これまで基本的に(大久保)嘉人がパスの供給先だったけど、今日は自分が左に入ったことで、(トップ下に入っていた)翔平がスペースに走り込んでくれるから、パスの選択肢が増えた」とコンバートを前向きに振り返った。