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ハノーファーのVIPルームでは“合コン”が!? スタジアムで稼ぐブンデスリーガの秘密
「欧州のスタジアムは、まさにビジネスの場だ」
ハノーファーは取材時点(2016年3月1日)でブンデスリーガ最下位。この試合では、ボルフスブルク相手にホームながら0-4で完敗した。
UEFAチャンピオンズリーグでレアル・マドリードを切り裂いたユリアン・ドラクスラーとアンドレ・シュールレのコンビにずたずたにやられ、シュールレにはハットトリックを許す始末。清武弘嗣、酒井宏樹、山口蛍の日本人トリオが久々に揃い踏みしたものの、清武はセンターサークル付近でボールを奪われ、酒井はセットプレーのこぼれ球を拾われ、山口はクリアミスをドラクスラーに持ち込まれ、それぞれ1失点以上にからむ散々なデキ。こうした敗戦を重ねた結果、ハノーファーは残念ながら2部降格の憂き目に遭ってしまった。
しかしながら、この日もVIP席はほぼ満員だ。写真右半分に映っている赤いシートのエリアはすべてVIP席になっており、ぎっしりと埋まっているのがお分かりいただけるだろう。僕は特別に入場を許可された関係で、座席は「空いていたら座っていい」とのことだった。しかし、座席が空くことはなかった。チームが最下位だろうと、彼らVIPは来るわけだ。
さすがに試合後のVIPルームの雰囲気は、試合前とは打って変わって暗かった。当然といえば当然のことだ。しかしながら、彼らはそれまでに多くの実りある会話をし、交渉をしたに違いない。
VIPチケットを買うことで、試合をVIP席で見られるというだけなく、試合前までに多くのビジネス上のメリットを享受できる。おそらく、彼らはハノーファーが2部降格してもそれほど客足を鈍らせることはないだろう。試合に来れば『コンチネンタル』社のようなアクティビティーに参加できる可能性があるし、ラウンジに顔を出せば多くの企業関係者と交流を持てる。クラブのマーケティング担当者は、彼らとの関係性をしっかり保つためにせわしなく各テーブル間を飛び回っていた。
かつて筆者は『ザ・シークレット・フットボーラー』という書籍の翻訳をする中で、「欧州のスタジアムは、まさにビジネスの場だ」という記述をしたことがある。「著者(ザ・シークレット・フットボーラー氏)が言っていたのはこのことなのだ」と、あらためて合点がいく光景だった。
ちなみにこのハノーファー、2部に降格をしてしまったが、日本人選手の獲得だけでなく、日本の企業やマーケットとはさらに関係を深くしていきたいという意向を持っており、日本におけるリージョナルパートナー(日本地区限定のパートナー企業)を募っている。
日本では夢物語といえるこのドイツのスタジアムでのVIP体験やビジネスネットワークの強化にご興味がある企業は、このクラブとのリージョナルパートナー契約を検討してみるのもいかがだろうか。2部ということもあり、意外とお買い得かもしれない。
【了】
澤山大輔●文、写真 text & photo by Daisuke Sawayama
(取材協力:ラガルデールスポーツ)