引退の阿部勇樹、浦和サポーターへ涙の挨拶 「レッズにはその声が必要です」
ホーム最終戦、サポーターの前でセレモニー実施
今季限りでの現役引退を表明している浦和レッズの元日本代表MF阿部勇樹が、11月27日のJ1リーグ第37節、今季のホーム最終戦となった清水エスパルス戦後にセレモニーを実施。その人柄を示すように、多くの人たちへの感謝の言葉を並べた。
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阿部はこの試合では登録メンバー外になり、浦和は0-1で清水に敗れた。その後、立花洋一代表取締役のほか、今季限りでの契約満了が発表されているDFトーマス・デン、DF槙野智章、DF宇賀神友弥が挨拶を行った後に阿部のセレモニーとなった。
埼玉スタジアムのオーロラビジョンでプロ生活23年間の歩みが振り返られ、阿部は目に涙を浮かべながら「私、阿部勇樹は今シーズンを持って引退します。長きにわたって応援してくださったファン・サポーターのみなさん、パートナー企業、後援会、スチュワードなど全ての方に感謝します。ありがとうございます」と切り出すと、様々な形で浦和や阿部に関わる人たちへの感謝の言葉を述べた。
クラブスタッフや、トレーニングが行われる大原サッカー場で様々な業務にあたるスタッフのほか、リカルド・ロドリゲス監督らの現場周りのスタッフ、チームメイトや家族にも感謝を伝えた。そして、常にその存在を大きなものと認識して公言してきた浦和のサポーターへの思いをこう語っている。
「今コロナの影響でなかなか満員にならず、声を出せず、皆さんも苦しい思いをしていると思います。近い将来、皆さんの声がここ埼玉スタジアムに響き渡ることを期待しています。浦和レッズにはその声が必要です。今年入ってきた選手は、本当の浦和レッズの姿を見ていないと思っています。皆さんが素晴らしい声援、時にはブーイングもあると思います。その中で浦和レッズで戦う責任、浦和レッズで戦うのはこういうことだと、皆さんが教えてあげてほしいと思います。2007年から今シーズンまで、ともに戦ってくれて本当にありがとう。感謝しています」
ジェフユナイテッド市原(当時)の下部組織から16歳でプロデビューし、イビチャ・オシム監督の下で大きく成長してアテネ五輪にも出場。07年に浦和へ移籍すると初年度にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の優勝に貢献した。南アフリカ・ワールドカップ(W杯)への出場を経て1年半イングランドでプレーしたが、12年に浦和へ復帰。主将を務めながら17年には2回目のACL制覇も果たした。
浦和ではボランチを中心にセンターバックや右サイドでもマルチにプレーし、誰からも慕われる人柄でチームをまとめた。先頭に立つよりも、後ろから支えていくようなキャプテン像だったが、チームが苦しい時は矢面に立ってサポーターとも向き合った。
今後は指導者の道を志すことを明らかにしている阿部は大きな拍手を受け、セレモニー後の場内一周では浦和サポーターによる感謝の気持ちを込めたビジュアルでも見送られ、最後のホームゲームを終えた。