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元日本代表FW大黒将志、中国サッカーに感じた可能性とJリーグとのリアルな差
杭州緑城では岡田武史監督の下でプレー
――シーズン前のトルコキャンプからチームに合流されますが、チームメイトたちのサッカーの印象はどうでしたか?
「個人個人の能力は高いなと感じました。強いて言えば、サッカーに集中できていない、未成熟だと感じる若手もいましたが、全体としてはみんな能力がありました。それよりも岡田監督の私に対する指導が日本時代より厳しく大変でした。チーム唯一の日本人選手だったので、中国人選手への見せしめに使われたと言いますか(笑)」
――そうなのですね(笑)。岡田監督のチーム指導で日本時代との違いは感じましたか?
「中国人選手は動かない。『もっとパス&ムーブをしろ』と、チームに口酸っぱく強調していました。例えば、4対2の簡単なボール回しでも、パスを出したらとにかく動くことを義務づけられたりと、そこは日本時代の指導と違いました。そこで私が動いていないと中国人選手より強く怒られました(笑)」
――ちなみに、ほかに岡田監督に怒られたエピソードはありますか?
「私は杭州在籍時代、愛犬を日本に残していましたので、3週間に1回は帰国していました。そんななか、ある週末の練習試合の際に監督室に行き、『帰国のために、この午後一番の便にどうしても乗る必要があるので、今日の試合2本目には出ず、帰らせてほしいです』と岡田さんへ伝えました。すると『オマエふざけるなよ。試合に出ずに帰るって、それが許されると思うのか。あり得ない』と激怒されました。しかし、こちらも引き下がるわけにはいかず、『犬とかも日本にいますので』と伝え、『分かった。戻って来た時にポジションがあると思うな』と怒られながらも、なんとか了承を得ました」
――面白いエピソードですね。中国に戻ってからが大変そうですが……。
「いえ。そこはさすが岡田さんです。私も帰国後はより集中して練習し、ゴールも決めました。ゴールを決めれば岡田さんはすっかり上機嫌で、この件は忘れているようでした(笑)」
久保田嶺
1991年生まれ、埼玉県出身。「Rouse Shanghai Co.,Ltd.」代表。日系企業の中国インバウンド事業やマーケティング、中国サッカー選手/指導者のマネージメントを手掛ける。自身の中国SNSフォロワー数も40万人と中国サッカー界で一番有名な日本人としても活躍。日本へ中国サッカー情報を発信する。