「危機感しかなかった」 栗原勇蔵×登里享平対談…若手・旗手の台頭で明かす”本音”
二人の価値観は一致 「気を遣うのも遣われるのも嫌」
登里 自分が若手の頃の栗原さんって、ドシっとしている存在感というか、威圧感がすごかった印象があるんですけど、栗原さんのようにチームのベテランの人がドシっと構えていたらチームってなかなか簡単には崩れないと思うんです。だから自分もベテランになるにつれてドシっとしていないといけないと今年感じたので、今、栗原さんのお話を聞いて、やっぱりもっとドシっとしていないといけないなと感じました。ちなみに、僕は後輩とよく食事に行ったりするんですけど、栗原さんって面倒見が良くて、後輩にめっちゃ慕われているという話をよく聞くんですが、どうやったらそんなに慕われるようになるんですか?
栗原 自分はもう気が合う人たちとっていうか、「食事に行きましょう」とか言ってきてくれたら、「じゃあ行こうか」って行く感じなんです。実は自分自身が先輩から「あそこに行こうぜ」とか言われるのがあまり好きじゃなかったから、そういうのはしないかな。ただ、「どっか連れてください」っていう後輩には連れて行ってあげる。無理して連れて行ったりするのは嫌だから、気を遣われるのも嫌。だから、一緒にいる後輩たちがなるべく気を遣わないようにしてもらっているし、先輩後輩とかあんまり気にしていないんです。自分も逆に先輩にはあまり気を遣っていなくて、むしろ後輩に対して気を遣っていたりするから、そういうのを気にしないでやろうと心掛けていますね。だから今後一緒にご飯に行く機会があれば、ぜひ呼び捨てで接してもらえれば。
登里 あ、はい。では、ぜひ「勇蔵」と呼ばせていただきます!
栗原 アハハハ(笑)。
登里 俺が後輩やったら絡みやすい先輩やなと感じました。僕も気を遣うのも遣われるのも嫌なので、そこは同じやなと。それに、めちゃめちゃいい先輩やなと思いました。
栗原 そういうことを聞いてくるってことは、やはり後輩とのコミュニケーションで何か気にしていることがあるの?
登里 僕自身、チーム内でのコミュニケーションについては誰でも意見できるような関係性だと思っているんです。結構プレー中のことを話したりもするので。ただそのなかで後輩たちとの関係性をどう築いていったらいいのかなと考えていたので、お話を聞いて意外と自然とできていたなと感じましたし、このままいい空気感でチームを作っていけたらなあと思いました。
栗原 なるほどね。今のままで大丈夫だと思うよ。フロンターレはJリーグで2度の連覇を達成して、圧倒的な力を見せてくれているので、あとは代表を目指して、絶対に森保(一)監督も見ていると思うから、しっかりと視野に入れて頑張っていってもらいたいなと思います。
登里 ありがとうございます! より意識して取り組んでいきたいと思います。
栗原 こちらこそありがとうございました。改めて優勝おめでとうございます!
[プロフィール]
登里享平(のぼりざと・きょうへい)/1990年11月13日生まれ、大阪府出身。香川西高―川崎。川崎一筋13年目、豊富な運動量と正確なクロスで4回のJ1リーグ優勝に貢献してきたサイドバック。明るいキャラクターで、ムードメーカーとしてもチームの士気を高める。
[プロフィール]
栗原勇蔵(くりはら・ゆうぞう)/1983年9月18日生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。