「身長の低さは弱みにならない」 米大学屈指のGK高瀬和楠、海外で成功するために必要だった資質とは?
渡米当初はコミュニケーションに苦労「信頼を勝ち取っていくことは本当に難しかった」
2016年にFC東京U-18で2冠達成に貢献したGK高瀬和楠は高校卒業後にアメリカ・フロリダ州にあるサウスフロリダ大学に留学し、全米大学スポーツ協会(NCAA)のディビジョン1に相当するアメリカン・アスレチック・カンファレンス(AAC)で研鑽を積んできた。そして今シーズン、リーグ(AAC)年間最優秀GKに日本人として初めて選出される快挙を達成した。周りは自分よりも体の大きなGKしかいなかったというなかで、高瀬はなぜ成功を収めることができたのか。日本人GKが海外に渡ってプレーするうえで必要なことは何かを聞いた。(取材・文=石川遼/全2回の2回目)
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ユース年代で日本一を経験するなど国内のトップレベルを肌で知る高瀬。渡米するまでは「アメリカのGKのレベルはそれほど高いと思っていなかった」というが、4年間のプレーを通じて想像よりも多くの優れた選手がいると実感したという。渡米当初は不慣れな英語でのコミュニケーションに苦労し、2年時には怪我をして手術を受けた影響で1シーズン丸々棒に振るうなど試合に出られない日々が続いた。
「海外でプレーするにあたって一番難しいと感じたのは『信頼を得る』ところでした。日本から来た僕のバックグラウンドなんて誰も知りません。FC東京というチームで全国制覇をしたと言っても、そもそもFC東京のことを知らないし、それがどれだけすごいことかも伝わらない。そんななかで信頼を勝ち取っていくことは本当に難しかったです」
最初にぶつかった壁はやはり英語だった。猛勉強によって大学入学に必要な英語テストはパスしたが、実際の会話となればレベルがさらに上がる。「初めは英語で質問されても、何を聞かれているかすら分からない」状態で、何度も聞き返してチームメイトに呆れられたこともあった。
地道に勉強を続けたことで高瀬は徐々に周囲とコミュニケーションが取れるようになったが、言うまでもなく海外で日本人GKが活躍するうえで語学の壁は避けては通れないポイントと言えるだろう。