33歳の元Jリーガーが歩む“俳優人生” 演技経験ゼロからスタート、時給900円のバイトも…下積み生活の実情とリアルな声
中華料理店で時給900円のアルバイト経験「楽しかった」
だが、青山はそれまでに芸能界の厳しさを味わっていた。大手プロに入っても、演技経験ゼロの27歳に仕事が舞い込むはずもない。まずは生活を安定させるために、知人に紹介された中華料理店で時給900円のアルバイトを始めた。Jリーガーとして高給を得た時期もあったが、そのギャップさえも青山はプラスに考えた。
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「確かに現役の時はそこそこもらってはいましたが、『何で俺がここにいるんだ』とは思いませんでした。それに中華料理店は、注文を取って、配膳をして、レジ打ちも経験できる。芝居にもつながってくると思い、『1年間は続けよう』と決意して始めて、生ビールの入れ方や酎ハイの作り方なども教わりました。高校生のバイトに注意されて、『すいません』って謝ったりもしました(笑)。でも、それも全て楽しかったですね」
青山はアルバイトと並行し、演劇学校に通い、芝居のワークショップにも足を運んだ。そして、少しずつ舞台、ドラマ、映画への出演を重ねた。
「舞台はサッカーと似ていて、稽古という練習があります。その積み上げをして、だんだんと良くなる実感も得ました。しかし、映像の仕事は現場に行って、『初めまして』のことが多いですし、自分なりに準備をしてきても、『これはこんな感じで』と指導されて変えられることも多くあります。そして、NGを出せば多くの人に迷惑がかかる。最初はそこに戸惑いました」
ただ、芸能界はいつ仕事があるか分からない。売れっ子になれば、次々と出演依頼も入って来るが、芽が出ずにアルバイトを続ける俳優、女優も少なくない。プロダクションとの契約も永続的なものではないが、青山は「その点は慣れています」と言った。
「現役時代も『いつ試合に出られるのか、出ないまま引退するのか』という危機感を常に持っていました。僕は中心選手ではなかったし、1日1日が勝負でしたし、気を抜いたら終わり。そこは共通しています」
気づくと、俳優生活も6年が過ぎた。「焦りはないですか」と問うと、青山は「ないです」と即答した。
「まだ6歳児(笑)で、スタートラインに立ってもいないですし、事務所の先輩、寺島進さんからは『人生は一生下積み』と教わりました。先日、一緒にプロ野球観戦をさせていただいたのですが、その時に寺島さんは『現場で成功しようが、失敗しようが、それが全部、自分のためになるんだよ。だから、いろんな場所に行っていろんなものを見て、感じていけばいい』と話されていました。そこには各々のマネジャーもいて、寺島さんは『俺たちはチームだから』と言ってくださり、涙が出ました。ずっとサッカーだけをしてきた自分を受け入れてくださったことも、うれしくて……」
もっとも、芸能人は「知名度を上げてこそ」だ。今、青山はマネジャーとともに、身長183センチ、甘いマスクを生かしたモデルの仕事も模索しつつ、CMのオーディションにも挑戦。バラエティー、サッカー関連の番組、イベントにも出演するようになった。
「CMは今年もオーディションで受かった2本に出演させていただきました。まずは、いろんな方に知っていただくことが大事ですし、それが俳優としての活動につながっていくと思っています。今後、やってみたいのは、ダサい役です。僕の素はダサくて、いじられキャラ。よく先輩方から『何か抜けている』と言われます(笑)。でも、オーディションは今でも緊張します。あれを好きな人はいないと思います(笑)」