EURO決勝Tで「究極の死の山」は完成せず… 16強出揃うが、ポルトガルとベルギーの両強豪は別の山に
強国ポルトガルがまさかのGS3位通過
欧州選手権(EURO)は22日にグループステージ全36試合が終了し、決勝トーナメント進出チームが出そろった。イングランド、スペイン、イタリア、フランス、ドイツが準決勝まで潰し合う「死の組」ならぬ、「死の山」が出来上がっていたが、強豪国のポルトガルとベルギー両国がグループステージ最終節の結果、決勝トーナメントで別の山に入ったために、究極の「死の山」は完成を見なかった。
それでも、トーナメント表を見れば一目瞭然だが、右側の山は強豪国揃いの強烈な組み合わせが発生している。
注目カードが目白押しとなった右側の山から見ていきたい。ドイツ、イタリア、スペイン、フランス、イングランドと、ヨーロッパの中でもワールドカップ優勝を経験している5カ国が全て入り込む衝撃の組み合わせになった。今回24カ国に出場国が拡大され、A組、C組、E組の1位通過が右側、B組、D組、F組の1位通過は左側であり、2位通過はそれぞれ反対側の山に入るという公平な組み分けだったはずが、B組のイングランド、D組のスペインが2位通過となったためにこのような偏りが生まれる結果になった。
中でも、最も注目されるカードはイタリア対スペインの前回大会決勝カードの再戦だろう。イタリアは2連勝でグループ1位を早々と決めていたために、スペインの2位通過が決まった後に順位を操作する余地がなかった。第3戦のアイルランド戦で主力9人を休ませたことからコンディション面では優位に立つ。一方、スペインは3試合すべてで同じスタメンを起用していることが試合にどう影響するか。ボールポゼッションしながら崩すことを狙うスペインに対し、組織的な守備からカウンターを狙うイタリアという構図になりそうだ。
また、イングランドの対戦相手はメジャー国際大会初出場のアイスランドに決まった。初戦のポルトガル戦ではFWクリスティアーノ・ロナウドに守備的戦術を「ゴール前にバスを止めた」「精神的に小さい」「この大会では何も残せないな」と罵倒されたが、第3戦オーストリア戦で試合終了間際の決勝ゴールを決め、グループ2位通過。歴史的な初勝利を挙げて勢いに乗っている。3試合で3得点にとどまっている大会屈指のタレントを誇るイングランド攻撃陣が、ハードワークで耐えるアイスランドを崩せるかが焦点になりそうだ。
C組を首位通過したドイツの相手はスロバキアに決まった。ここまで無失点のドイツに対し、スロバキアはナポリMFマレク・ハムシクを中心にした攻撃陣が挑むことになる。また、開催国フランスは、最終節イタリア戦で起死回生の決勝ゴールを決めて滑り込んだアイルランドと対戦する。
初戦の結果がどうあれ、準々決勝、準決勝とさらなる強豪国同士の対戦が続くことが濃厚な組み合わせになった。優勝候補同士が対戦していく見ごたえのあるゲームが続く反面、コンディショニングに難しさを抱える可能性が高い。