将来嘱望のJリーガー、27歳で引退→俳優に転向 「1億円稼げる」と言われ奮闘も…異例のキャリアを辿った理由
開幕5試合連続フル出場も代理人に電話して「辞めます」
「出るからには『勝つぞ』とは思いましたが、『このポジションを守ってシーズン突っ走るぞ』と思えませんでした。そんな状態の中でも、『青山さんのプレーを見て、また仕事を頑張れます』というコメントをいただいて、自分の中で『これはファンを裏切っている。ダメだ』と思い、引き分けに終わった熊本戦の後、代理人に『辞めます』と連絡しました」
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代理人は「どうした。意味が分からない」と慌て、徳島に駆け付けた。青山は心療内科に行き、薬を処方されるなどしたが、気持ちは揺るがなかった。そして、代わる選手を補強できるタイミングを考慮し、夏の移籍市場が開くまでプレーすることでクラブと合意。同年7月14日に引退を発表した。
「クラブの方からも『どうしてそうなったのか』と聞かれましたが、それは死ぬまで分からないと思います。ただ、引き際は人それぞれでいいと思いますし、僕のタイミングが間違っていたとは、今も思ってはいません」
青山は27歳にして、プロサッカー選手のキャリアに終止符を打った。だが、心の準備はできていた。18歳で名古屋と契約する前から、家族や伯母の女優篠ひろ子、篠の夫で伯父である作家伊集院静にアドバイスを受けていたからだ。
「特に伯父からは、よく『お前、次のことを考えてプレーしているのか。サッカーはそんなに長くできるもんじゃないだろ』と言われていました。25歳の頃には、伯母からも芸能関係者の方を紹介してもらっていましたし、『いつ締めくくるか』は常に意識していました」
引退発表から約1か月後、青山は現在の所属事務所と契約を交わした。始まったセカンドキャリア。だが、すぐに仕事を得られるほど芸能界は甘くない。文字通りの「茨の道」。後編では、青山の「今」に迫る。(文中敬称略)
[プロフィール]
青山 隼(あおやま・じゅん)/1988年1月3日生まれ、宮城県出身。名古屋U-18―名古屋―C大阪―徳島―浦和―徳島。FCみやぎバルセロナジュニアユース、名古屋U-18を経て、2006年にプロデビュー。年代別代表としても活躍し、翌年のU-20W杯では3試合に出場。日本の16強入りへ貢献した。2015年7月、シーズン途中での現役引退を表明し、現在はタレント・俳優として活躍している。