三笘薫、“金縛り”ドリブルの衝撃 天才ドリブラーが凄さを分析「厄介極まりない」
「野球で言えば、まったく同じフォームで自由自在に投げ分けるイメージ」
三笘の凄さは、さらにあるという。金田氏は「三笘のドリブルは脅威だが、ドリブルで抜き切らなくても質の高いクロスが上がってくるから、相手からすると厄介極まりない存在」と解説する。
「三笘は同じフォームで、縦へのドリブル突破か、中へのドリブル突破か、クロスか。どれでも有利な状況で自由に選べる。軸足で立っている時間が長いドリブルを駆使して相手の対応を見極め、相手の重心がわずかでも先に動けば、三笘はその逆を突くスタイルだ。さらに一気に加速するスピード、ボールの運び方も申し分ない。野球で言えば、まったく同じフォームで、多彩かつ質の高い球を自由自在に投げ分けるイメージだ。次の一手がまったく読めないから、対峙したDFからしたら厄介だろう。相手は自ずと後手を踏むことになる」
川崎フロンターレ時代の三笘も、鋭いドリブルで縦や中に突破することもあれば、相手を抜き切る前にクロスを通して何度もゴールを演出している。ベルギーに活躍の場を移してからもストロングポイントは健在だ。多彩な選択肢で相手を迷わせ、相手に後手を踏ませる。そんな三笘のプレーを金田氏は“金縛り”に例えた。
「相手は金縛りに遭ったように動けなくなる。そこで三笘がドリブルで突破するようなそぶりを見せると、相手は思わず身体が反応してしまう。三笘は相手が反応したのを見てから仕掛け、優位に立てるわけだ。面白いタイプの選手だし、見ていて単純に楽しい」
日本は6試合を終えて4勝2敗でグループ2位につける。2022年には中国戦(1月27日)、サウジアラビア戦(2月1日)、オーストラリア戦(3月24日)、ベトナム戦(3月29日)と4試合を戦うなか、三笘への期待感は一層膨らみそうだ。
[プロフィール]
金田喜稔(かねだ・のぶとし)/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。