日韓W杯決勝レフェリーが語るVARの課題は? 「走ることを覚えていない子供のよう」

Jリーグや日本代表の試合でも導入され始めたVAR(写真はイメージです)【写真:高橋 学】
Jリーグや日本代表の試合でも導入され始めたVAR(写真はイメージです)【写真:高橋 学】

コッリーナ氏がVARをポジティブと評価する一方、コストや関係者の負担軽減を説く

 元国際主審で2002年の日韓ワールドカップ(W杯)決勝を担当したイタリア人の名レフェリー、ピエルルイジ・コッリーナ氏が、イタリア紙「ガゼッタ・デロ・スポルト」の週末特集版でビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)への意見を語っている。「歩くことを覚えていても、走ることを覚えていない子供のようなもの」という独特な表現を用いた。

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 近年、サッカー界ではトップカテゴリーの試合にVARが採用されることが標準的になっている。2016年のクラブW杯で導入されると、徐々に各国のトップリーグでも採用され、18年にはW杯でも採用。今や、ゴールやPKに対するVARチェックと、レフェリーが空中に四角いスクリーンを描くようなジェスチャーはサッカーにおける日常になった。

 そのVARについて、国際サッカー連盟(FIFA)の審判委員会で会長も務めるコッリーナ氏は「非常にポジティブなものだ」としたうえで、課題となっている部分も指摘している。

「2014年に、レフェリーにテクニカルなサポートをするVARについて議論された最初のミーティングに参加した。そして、これからもさらに使われていくツールだと思っている。だからこそ、使用方法を簡素化し、コストや関係者の負担を軽減しなくてはならない。イタリアで言えば、試合中のVARの使い方を改善しなければ。ただこれは、歩くことを覚えていても、走ることを覚えていない子供のようなものなんだ」

 コッリーナ氏は「走ることを覚えていない」という表現で、現在のイタリア・セリエAにおけるVARでの意思決定プロセスに時間が掛かり過ぎていることを指摘している。ただ、これは多くのVAR導入ゲームに当てはまるものだろう。一方で、改善の余地は十分にあるという前向きな言葉でもある。

 日本代表が戦っているW杯アジア最終予選や、佳境に入っているJ1でもVARの存在はクローズアップされる場面がある。コッリーナ氏の話すように、「走ることを覚える」ところまでスピーディーな判定が下されるようになれば、よりVARの有用性が際立つことになるはずだ。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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