「感覚的に言うと…」 伊東純也の“幻のゴール”に金田喜稔が嘆き節「サッカーをつまらなくしている一因」
ベトナム戦で生まれたゴール取り消しシーンに言及「理解はしているが、ふざけるなっていうレベル」
森保一監督が率いる日本代表は、11月11日のカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第5節ベトナム戦で1-0と辛勝。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の介入で取り消されたMF伊東純也(ヘンク)のスーパーシュートに触れ、ルールを尊重しつつも「サッカーをつまらなくしている一因ではないか」と疑問を呈した。(取材・構成=Football ZONE web編集部)
試合は前半17分、FW大迫勇也(ヴィッセル神戸)が敵陣で相手を背負いながら落とし、MF南野拓実(リバプール)が左サイドを持ち上がって絶妙なラストパスを供給。ファーサイドを駆け上がった伊東が飛び込んで鮮やかに先制ゴールを奪った。
前半40分に問題のシーンが生まれた。相手のセットプレーを凌いだ日本がカウンターを仕掛け、スピードあふれるドリブルで50メートル近く持ち上がった伊東が豪快に右足を振り抜き、強烈な一撃をゴール左上に突き刺した。歓喜する日本と落胆するベトナム。解説を務めた元日本代表MF中村憲剛氏や松井大輔も「スーパーゴール」と口を揃えて絶賛している。
ところが、ここで試合が一時中断。VARの進言と映像確認により、オフサイドポジションのMF田中碧(デュッセルドルフ)がシュート地点と相手GKを結ぶライン上にいたことが判明し、最終的にノーゴールとなった。
金田氏は伊東のスーパープレーを称える一方、「たしかに、厳密に言えば田中が関与していたわけで、最終的にはルールに則って審判団が判断する。それはもちろん理解しているが、感覚的に言うと、あのスーパープレーが無効になるというのは、サッカーをつまらなくしている一因ではないかと思う」と疑問を投げかける。
試合が数分間中断し、一転してノーゴール判定となったなか、最高潮に達した伊東のテンションも急落。当事者の心境にも思いを馳せる金田氏は、「ああいう流れになると、伊東の気持ち的にも難しい」と語る。
ルールはルールと強調しつつも、「なんの障害もないスーパーシュートだった。サッカーの醍醐味が失われたのを感じた。あんなファンタスティックで、エキサイティングな素晴らしい光景が取り消されるのは、ふざけるなっていうレベルだよね」と嘆く。
最終予選2連勝で3位に浮上した日本は16日にアウェーのオマーン戦に臨む。いまや森保ジャパンに欠かせないアタッカーとなった伊東の2試合連続ゴールが生まれるか注目だ。