「ポテンシャルは歴代最高」 元日本代表DFが冨安健洋に指摘する“唯一の課題”は?
【栗原勇蔵の目】スピードは超一流 パワーがさらに増せば「無敵に近い」
日本代表DF冨安健洋は、今夏に移籍したイングランド1部アーセナルで右サイドバックとしてレギュラーを張り、世界屈指のフィジカルと激しさを誇るプレミアリーグで堂々と渡り合っている。日本サッカー界では、かつて中澤佑二氏や田中マルクス闘莉王氏といった名ディフェンダーが君臨したが、「ポテンシャルは歴代最高」と元日本代表DF栗原氏は太鼓判を押す。(取材・構成=Football ZONE web編集部)
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2018年1月にアビスパ福岡から海を渡り、ベルギー1部シント=トロイデン、イタリア1部ボローニャで研鑽を積んできた冨安は、今夏の移籍市場最終日にACミランやトッテナムなど欧州5大リーグの強豪からの関心が噂されるなか、プレミアリーグの名門アーセナルへの電撃加入が決まった。
加入後、冨安は右サイドバックとして全8試合にスタメン出場。イングランド代表FWハリー・ケイン、韓国代表FWソン・フンミンを擁するトッテナムを含めてデビューから3戦連続で相手にドリブル突破を許さないディフェンスを見せ、ここまで1試合平均タックル2.3回(成功率44%)、インターセプト1.3回、クリア3.4回、リカバリー5.3回、デュエル勝利数45回(勝率59.0%)、空中戦勝利数22回(勝率59.4%)と好数値を残している。
森保一監督が率いる日本代表でも、キャプテンを務めるDF吉田麻也(サンプドリア)の相棒センターバック(CB)として確固たる立場を確立し、23歳にして不動のレギュラーを務める。栗原氏は、「現代サッカーはとにかく速く、スピードが必須条件のなかで、冨安は基準値以上というかかなり高いレベル。スピードでぶち抜かれることはほとんどありません。屈強な選手が集うプレミアの中で、ヘディングでも負けずに強い」と評価する。
冨安加入後、アーセナルは8戦無敗(6勝2分)で、崩壊状態にあった守備の立て直しに大きく貢献した点は英メディアでも高く評価されている。そのなかで、栗原氏は「あえて注文をつけるとしたら」とフィジカル面の強化を挙げた。
「今は毎試合、1回か2回は相手に吹っ飛ばされているシーンがあります。世界の一流CBはまず当たり負けしない。単純なパワー勝負になると、冨安はプレミアリーグで不動のCBになるような強さはまだないので、それが備わったら無敵に近いですね」