「もし負けていたら自分はおめでとうと…」 名古屋FW柿谷が古巣C大阪の選手に感じた偉大さ
ルヴァン杯決勝で古巣C大阪と対戦して優勝を勝ち獲る
名古屋グランパスの元日本代表FW柿谷曜一朗は、古巣対決になった10月30日のルヴァンカップ決勝のセレッソ大阪戦でスタメン出場。チームは2-0の勝利を飾った。試合後に旧知の仲間から祝福の言葉を受けたと明かした柿谷は、「素晴らしい選手たちとサッカーをして来られたんだと感じた」と振り返った。
柿谷はC大阪の下部組織から育ち、早くから大きな期待をかけられてきた。アンダー世代の世界大会でも日本代表のエースとして活躍して、必ずしも順風満帆ではなかったが、2014年のブラジル・ワールドカップ(W杯)にも出場。スイスでのプレー経験も積んだ。そうしたなかで今季、柿谷はC大阪から名古屋へと移籍。過去の徳島ヴォルティスへの期限付き移籍や、スイス移籍とはまったく意味の違う、同じJ1のクラブへの完全移籍は双方にとっての大きな出来事だった。
そうしたなかで決勝のカードがC大阪との対戦に決まると、その心情について「意識しないつもりで過ごしたけど、頭のどこかで意識しながら生活していた部分もあり、終わってホッとしている」と話した。
前半にはオーバーヘッドキックでゴールを狙う場面もあり、後半2分の先制点はニアサイドに飛び込んでFW前田直輝のゴールを導いた。同28分に交代になると「残り20分、30分くらいが長く感じるだろうと思った。そう感じたくなかったので、みんなで(試合に)出ている選手を鼓舞して優勝する雰囲気をベンチからも作っていこうと思っていた」と、ピッチ外からもチームの力になった。
そして試合が終わると、昨季までのチームメイトから祝福の言葉もかけられたと話す。その思いについて、柿谷はこう振り返った。
「決勝の相手がセレッソで、決勝はやめてほしいという気持ちもあったけど、いざやってみると本当に楽しかった。終わった後に、もし負けていたら自分はセレッソの選手たちのようにおめでとうと言えたかどうか。そのような温かさも感じて、素晴らしい選手たちとサッカーをして来られたんだと感じた。そうやって今まで一緒にやった仲間の素晴らしいところも見られて幸せに思う」
柿谷はこの決勝を「僕が認めているというか、凄い選手だと思う選手たちとできて、思い出に残る試合になった」と話した。C大阪の伝統的なエースナンバーの「8番」を今は名古屋でつける柿谷だが、キャリアの中でも特別な1日、特別なタイトルになったのは間違いないと言えそうだ。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)