ベルギーに1.5倍のシュートを許すも枠内率は33.3% 快勝劇で光った“堅守”イタリアの伝統 

ベルギーの3倍高かったイタリアの「効率性」

 これまで分析してきた2試合に勝利したフランス(ルーマニア戦)とドイツ(ウクライナ戦)は、いずれも65%を超える高いポゼッション率で相手を圧倒してきた。しかし、この日勝利したイタリアのポゼッション率は43.6%。試合を通してベルギーのアタッキングサード(ピッチを三分割にした時の相手ゴールに最も近いエリアを指す)でのプレーはわずか16.5%に対し、ディフェンシブサードでのプレーはその約2倍となる31.9%に上った。

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 データだけ見るとイタリアが苦戦していたように見えるが、それでも結果はイタリアの2-0勝利だった。これだけ低い位置でのプレーを余儀なくされたイタリアの勝利の方程式を探るためにシュートの効率性を見てみたい。

 シュートの効率性は、枠に飛んだシュート1本を打つために何本のパスを回したかという指標で見てみたいが、この試合でベルギーが成功したパスは457本、枠に飛んだシュートは3本。シュートの効率性は457本/3本=152本、それに対し、イタリアは成功したパス332本、枠に飛んだシュート6本だったので332本/6本=55本。つまりイタリアが決定的なチャンスを作る効率性は、ベルギーの約3倍高かったことになる。

 少ないパスで相手ゴール前にボールを運ぶには、最短距離のルートを取ることが最も効率的だ。時間をかけてボールを運ぶと、当然相手はしっかりゴール前を固めてくる。それを攻略するために、相手DFをサイドに引き出すには両翼に起点を置く必要がある。その場合、アタッキングサードにおけるサイド攻撃の比率が高まる。

 では、この試合における両チームのアタッキングサードの攻撃エリアの比率はどのようになっていたのだろうか。

 

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