Jクラブも参考になる“アヤックス・スタイル” 主力流出でも機能する成功の要因とは?
成功の要因は補強、育成と同時にプレースタイルが一定なこと
かつてヨーロッパ最強だったアヤックスは1995年のボスマン判決をきっかけに選手流出が続き、CLの中堅以下にまで落ち込んでいた。しかし、持ち前の育成力で復活を果たしたのが18-19シーズンだった。今回は3シーズンで引き抜かれた選手たちの穴を埋め、新しいサイクルを作っている。
アヤックスはオランダ国内ではビッグクラブだがCLの舞台ではそうではない。常に主力を引き抜かれながら、育成と補強で新たなサイクルを回して数年おきにピークを作っていく流れが出来つつあるようだ。
ポルトガルのベンフィカやFCポルト、ウクライナのシャフタール・ドネツク、リーグアンのASモナコなども似た立場にある。この手のクラブの成功の要因は補強、育成と同時にプレースタイルが一定なことだろう。アヤックスの若手にはプレーの迷いがない。プレーぶりから経験不足には見えないし、個人もチームも機能している。スタイルが一定なので補強のターゲットも明確化する。
Jリーグも世界的には同じような立場にあり、アヤックスなどは参考になると思う。
(西部謙司 / Kenji Nishibe)
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西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。