データで検証するハリルジャパンの現在地 欧州勢相手に見せた“二つの顔”とは
キリンカップ2試合のデータを分析 日本の課題を改めて検証する
ハリルジャパンが初タイトルを懸けて、7日に市立吹田サッカースタジアムで戦ったボスニア・ヘルツェゴビナ戦は、先制点を挙げたものの2点を失い、1-2で敗戦した。初戦のブルガリア戦で、日本のエースであるFW本田圭佑を故障で欠きながらも7-2と快勝したわずか4日後の敗戦は、期待が大きかっただけに残念な結果となってしまった。
しかし、対戦相手のボスニアを冷静に見てみると、現時点でのFIFAランキングは20位。今回の来日メンバーは当初発表された顔ぶれからチェルシーGKアスミル・ベゴビッチ、ローマDFエルヴィン・ズカノビッチ、エバートンMFムハメド・ベシッチ、世界屈指のFK名手として名高いローマMFミラレム・ピアニッチとエースFWエディン・ゼコというチームの中核が、結局のところ来日しないという“1.5”軍メンバーだったが、実力的には53位の日本のはるか上を行くチームだった。
ボスニアを指揮するメシャ・バズダレビッチ監督の名前を聞いたことがある人は、この世界に精通しているフットボール通かもしれない。
バズダレビッチ監督は、2004年に日本のIT企業インデックス社が買収したフランスのサッカーチーム、グルノーブル・フット38(GF38)を07-08シーズンに仏1部リーグ・アンに昇格させた時の監督だ。GF38にはかつて梅崎司(浦和)、伊藤翔(横浜FM)、大黒将司(山形)、松井大輔(磐田)も所属したことがある。GF38時代にはモダンな組織力とともに、ハードなプレーと規律を要求。選手のマネジメント力に秀でた印象がある監督だったが、この日のボスニアの戦いぶりを見て当時の名残を感じた。
キリンカップからずいぶんと日は経ったものの、まずは本田不在のなか、7-2と快勝を飾った6月3日ブルガリア代表戦のデータから分析してみよう。このスコアだけを見れば、日本が圧倒的にゲームを支配していた印象があるが、改めて両チームが示した数値を見るとハリルジャパンの現在地が見えてくる。