フランス代表優勝で流行る“5-2-3”システム サッカーが進化すればハンドボールに近づく

5-2-3システムの前線と後方はタスクがシンプル、中盤も適材がいれば解決可能

 5-2-3はこれから流行ると思う。理由はまず「分かりやすさ」だ。前線の3人と後方の5人については担当レーンが明確なのでタスクがシンプルで導入が難しくない。MFの2人は横移動が多いぶん複雑で負担も大きいが、適材がいれば解決可能である。代表チームはほぼ練習時間がないので、こうした「分かりやすさ」は重要だ。

 もう一つの理由として、ハイプレスでは相手のビルドアップを阻止できないことが常識になりつつあること。強豪国ではGKを使ったビルドアップがデフォルトになっていて、ハイプレスをしても外されやすくなった。スペインでもフランスがハイプレスすれば何回かは奪えるが、トータルではハイプレスはあまりあてにならず、それをやるリスクのほうが大きい。それならば引いて5レーンを埋めてしまえばいいという考え方である。

 こういう守り方は、ハンドボールなどでは普通の守り方だ。サッカーが進化すればハンドボールに近くなっていくはずで、今回のフランスの変化はそれに沿ったものと言えるかもしれない。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)

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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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