日本代表の“田中碧システム”、金田喜稔氏が期待「化学反応楽しみ」 相性の良さが鍵
オーストラリア戦で採用した新システムは「今後へのヒントになり得る」
日本代表は、12日のカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第4節オーストラリア代表戦で2-1と勝利した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、日本が採用した新システムについて「今後へのヒントになり得る」と評価。その一方、「基本の4-2-3-1システムで攻守をいかに機能させるかが喫緊の課題」とくぎを刺している。
前節のサウジアラビア戦を0-1と落とし、W杯最終予選で2敗目を喫した森保ジャパン。負ければ本大会出場が遠ざかるオーストラリア戦で、これまで継続してきた4-2-3-1システムから4-3-3システムへ変更して臨んだ。MF遠藤航(シュツットガルト)をアンカーに置き、インサイドハーフでMF田中碧(デュッセルドルフ)とMF守田英正(サンタ・クララ)を抜擢。金田氏は、この中盤の組み合わせが絶妙だったと称賛する。
「田中、守田との組み合わせは、遠藤がストレスなく、自分の良さを発揮できる配置。田中と守田がプレシャーをかけて潰す。こぼれ球や抜けてきたパスに関しては、遠藤が巧みに読み切って、狙いを定めてボールを奪取できる。本来、チームが遠藤に求めている役割を十分に発揮できていた。組み合わせやシステムによって、選手が持つ長所が際立つということを証明するようなゲームだった」
中盤の底で攻守のバランスを取り、守備に安定感をもたらした遠藤のパフォーマンスに喝采を送る金田氏。「もちろん遠藤はゴールに絡む決定的な仕事もできる選手だ。しかし、その仕事はある程度前の選手に任せ、周りとのバランスを見極めながら守備の比重を強めると、ボール奪取や球際での強さなど、素晴らしい彼の持ち味が本当に生きる。オーストラリア戦のシステム、メンバー構成は、今後へのヒントになり得るものだった」と、新たな可能性を見いだしている。
今回の新システムにおいて、あうんの呼吸を見せたのが田中と守田だ。2人は川崎フロンターレで共闘し、優勝も経験している。金田氏も「今回の中盤が機能したポイントの一つは、田中と守田の2人が川崎フロンターレで共闘した経験を持っていることだ。互いのプレースタイルも熟知し、感性も通じ合っているので、2人からすればピッチ上で大きな迷いはなかったと思う」と指摘した。
オーストラリア戦で代表初ゴールをマークし、勝利に大きく貢献した田中は、今後のさらなる台頭を予感させる。金田氏は、田中の主力定着を見据えたチーム作りが鍵になると見ており、個々の特徴を生かすうえで“選手同士の相性”を強調した。
「短期間でのチーム作りを進めるうえで、選手同士の相性の良さは見逃せないポイントであり、それがよく分かる試合だった。例えば、この代表チームに三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)、旗手怜央(川崎)ら川崎で一緒にプレーした選手たちが絡み、どんな化学反応を見せるのか、それが非常に楽しみだ。田中が台頭してくると考えた場合、誰と組み合わせれば長所を発揮できるのか。そのあたりも今後のチーム作りにおける重要なファクターになる」