「正しい決断だった」 森保監督の2つの采配を英国人記者が高評価「ようやく…」
オーストラリアに2-1勝利、中盤のバランスが素晴らしかった
森保一監督率いる日本代表は、12日のカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第4節のオーストラリア戦で2-1と勝利した。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、W杯を6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、試合から浮かび上がった課題に触れた一方、森保監督の“ポジティブ采配”を称えている。
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称賛に値するような、あるいは納得のいく試合ではなかったが、森保一監督はひとまず自分の仕事を守るゴールの記念品として、(オーストラリア代表DF)アジズ・ベヒッチのシンパッド(すね当て)を要求するべきだろう。
この左サイドバックはカタールW杯のアジア予選で11連勝中だった“サッカルーズ”の弱点の一つだった。埼玉スタジアムで行われた試合では、とても全勝中のチームには見えなかったが。
ベヒッチのすねに当たって決まった幸運なゴールが日本に必要な勝利をもたらしたことは妥当でもあり、この結果が次のW杯に向けてサムライブルーの運命を好転させるかもしれない。
この勝利は運も味方につけて手に入れてものだったかもしれないが、本当なら(決勝点の)後半41分よりももっと早い段階で手にすべきものだった。
ジッダで敗れた経験を経て、森保監督は柴崎岳を先発から外し、代わりに田中碧を起用するというポジティブな変更を行った。これが正しい決断だった。
田中がようやくスタメンの座に入った安堵感はあったが、フォーメーションを4-3-3(4-1-4-1)に変更したことで、日本が後手に回ってしまうような慎重な采配のようにも見えた。
しかし、田中がチームに与えたエネルギーは前半45分間を通して日本を優位に立たせることになった。南野拓実の素晴らしいランニングとベヒッチの守備対応のミスから生まれたフィニッシュは、この若きMFがあらゆる場所に顔を出していたからこそ生まれた先制点だった。
中盤のバランスも素晴らしかった。遠藤航の統率力とゲームを読む力によって、オーストラリアの中盤にはチャンスを作る時間が与えられなかった。その結果として、前半のサッカルーズは何度も簡単にボールを失っていた。守田英正は運動量が豊富で、田中との連携も完璧だった。このペアが何度もポジションを入れ替えていたのは非常に効果的だった。
南野拓実も左サイドで効いていた。彼はオーストラリアのディフェンスを引きつけるランで元川崎フロンターレの田中が得点するための時間とスペースを作り、クレバーなパスを届けた。
実際、優勢だった日本はハーフタイムでオーストラリアを仕留めておくべきだった。アダム・タガートのシュートがポストに当たった場面などオーストラリアにもチャンスがあったし、伊東純也や大迫勇也がゴール前でもっと冷静にプレーしていれば、前半のうちに試合は終わっていたはずだ。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。