田中碧は「今後外せない」 元日本代表DFが称えた攻守の「特殊能力」とは?
元日本代表DF栗原勇蔵氏が中盤で躍動した田中碧を高評価
森保一監督率いる日本代表は、12日に行われたカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第4節でオーストラリアに2-1と辛勝した。崖っぷちの状況で劇的な白星を手にしたが、嫌な流れを変えた1人が先発に抜擢されたMF田中碧(デュッセルドルフ)だ。元日本代表DF栗原勇蔵氏も、「今後外せない」と継続起用を推奨している。
森保監督は現地時間7日の前節サウジアラビア戦(0-1)からスタメンを3人変更。累積警告による出場停止明けのMF伊東純也(ヘンク)、田中、MF守田英正(サンタ・クララ)が入り、MF遠藤航(シュツットガルト)を含めたボランチ3枚の4-1-4-1システムを採用した。
日本は前半8分、MF南野拓実(リバプール)が敵陣左サイドから逆サイドへ展開。オーストラリアDFアジズ・ベヒッチがカットできず、ペナルティーエリア内右の田中にパスが通ると、先発起用の田中はこれを冷静に流し込み、自身代表初ゴールで先制点を奪った。
栗原氏は、田中の先発起用によるシステム変更が、この先制点を生んだと語る。
「すべてはフォーメーション変更から始まった。これまでのダブルボランチなら、あそこに3列目の選手がいなかったと思います。相手選手が目測を誤ったこともありますが、そこに選手がいなかったゴールも生まれない。あそこにポジションを取れたのがゴールにつながった。そういうところを嗅ぎつけてあそこにいるのはセンスの塊。シュートも落ち着いていました」
日本は前半41分にポスト直撃のシュートを放たれ、後半22分には左サイドの突破を許すとマイナスのパスからシュートを打とうとした相手に、守田が必死のスライディングもファウルの判定。主審はPKスポットを指示したが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の判定で、ペナルティーエリアわずか外からのフリーキックに修正された。しかし、少し時間が空いてから再開されたそのフリーキックを、MFアイディン・フルスティッチに豪快に蹴り込まれて1-1の同点ゴールを許した。
それでも後半41分、左サイドのペナルティーエリア内で前を向いた途中出場の浅野拓磨が放ったシュートは、相手DFに当たってループシュートのようになり、さらに相手GKも弾いたボールがゴールポストへ。そこをカバーに来た相手DFベヒッチのオウンゴールになり、日本が2-1で競り勝った。
この重要な一戦でフル出場を果たした田中について、栗原氏も大きな期待を寄せている。
「田中碧を超える選手がいれば別ですけど、それまでは年齢的にも使っていかないとけない。誰が見ても良い選手で、すべての人が期待する選手。技術はもちろん、サッカーIQも高い。パスが出る位置、相手の攻撃の芽を摘める位置を嗅ぎ分ける特殊能力を持っています。身体能力がめちゃくちゃ高いわけではないけど、ファイターだし見ていて気持ちいい。得点まで取ってしまうとなれば、間違いなく次も出るし、もう今後外せないでしょう」
田中が遠藤、守田、MF柴崎岳(レガネス)らとのボランチ争いに名乗りを上げる大きな一戦となった。
(FOOTBALL ZONE編集部)