「大型補強」対決に敗れた清水、降格圏と再び“3差” 未完成チームに見える手詰まり感
【J番記者コラム】神戸にホームで0-2、今シーズン10度目の完封負け
前節に残留争いをするベガルタ仙台との直接対決を制して9試合ぶりの勝利(2-1)、約2カ月半ぶりに勝ち点3を掴んだ清水エスパルスは今シーズン初の2連勝を目指し、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)圏内を狙う暫定4位のヴィッセル神戸をホームに迎えた。
この夏の移籍期間で清水がDF井林章、MF松岡大起、FW藤本憲明、MFホナウド、MFベンジャミン・コロリと各ポジションの5人を獲得。一方、神戸はFW大迫勇也、FW武藤嘉紀、FWボージャン・クルキッチとゴールを量産していたFW古橋亨梧のセルティックへの移籍の穴を埋めるFW陣を補強した。コロナ禍で経営状態もひっ迫しているクラブが多いなか、補強費の規模の違いはあるものの両クラブは積極的に新戦力獲得に動いた。大型補強を軸に強化を図る両チームの「夏の補強」の成果はいかなるものか――。また、今節唯一の金曜日開催の試合ということもあり注目されていた。
前節に今シーズン初得点を決めて勝利に貢献した藤本が、神戸からの期限付き移籍ということで契約上この試合への出場はできなかったが、それ以外の補強4選手は先発に名を連ねた。神戸は怪我で出場が心配された武藤も先発起用され、3試合ぶりの勝利となった前節北海道コンサドーレ札幌戦(1-0)と同じ11人の先発となったが、試合は開始早々の9分に大迫、武藤という新加入コンビに先制点を決められてしまう。清水の右サイドからパスで翻弄され大迫にフリーでクロスを入れられる。そして、ニアで侵入してきた武藤に井林が寄せ切れずにダイビングヘッドを打たれると、ボールは井林に当たりコースが変わってゴールに吸い込まれた。
清水も前半34分にMF西澤健太のクロスに前節に首を痛めて負傷交代し、救急車で搬送されたが大事に至らず先発出場したチアゴ・サンタナが豪快なヘディングシュートで合わせたが、これは神戸GK飯倉大樹が見事に反応して同点を阻止。同43分にもチアゴ・サンタナがペナルティーエリア内に抜け出し、DF原輝綺のグラウンダーのアーリークロスを右足で合わせたがジャストミートせずに枠を捉えきることができなかった。
決定的チャンスを決められずに1-0のまま前半を終えると、後半20分に清水の左サイドからのクロスに大迫がシュートを放つが、これはDFヴァウドのブロックした足をかすめ枠外へ。しかし、同42分に清水の右サイドで後半の頭からMFアンドレス・イニエスタに代わって入っていたMF佐々木大樹の折り返しをDF大﨑玲央がシュート。今度は松岡の足に当たりコースが変化し、GK権田修一の手をかすめて追加点を奪われ万事休す。0-2で6度目の連勝挑戦もゴールが遠く、今シーズン10度目の完封負けを喫した。
下舘浩久
しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。