久保建英、レアル本拠地での拍手と不運 マジョルカの“消極的姿勢”に現地記者も同情
【スペイン発コラム】サンティアゴ・ベルナベウでの初試合も1-6惨敗、試合前には観衆から久保へ拍手
日本代表MF久保建英が22日のリーガ・エスパニョーラ第6節で保有元のレアル・マドリードと対戦し、5試合連続で先発出場した。レアル戦開始は平日開催のため通常より遅い22時。気温18度で秋風がそよぎ、肌寒さを感じる季節になってきた。会場となったサンティアゴ・ベルナベウは来年12月の完成を目指し、今なお改修工事が続いている。
ルイス・ガルシア監督は試合前日の記者会見で宣言した通り、大幅なターンオーバーを実施。連戦および今週末に残留争いの直接のライバルであるオサスナとの重要な一戦を控えていることを考慮してレギュラークラスの選手たちを多数温存し、0-0で引き分けた3日前の前節ビジャレアル戦から7人を入れ替えた。
MFイ・ガンイン、DFジョアン・サストレ、MFロドリゴ・バタグリア、MFアレックス・フェバス、MFラゴ・ジュニオール、FWマシュー・ホッペが初めてスタメンに名を連ね、さらにBチームのDFジョゼップ・ガヤがトップチームデビューを飾った。しかし、同じくターンオーバーを行いMFルカ・モドリッチやMFカゼミーロなどを休ませたものの、リーガ得点ランキングTOP2を占めるFWカリム・ベンゼマやFWヴィニシウス・ジュニオールなどの強力FW陣を擁した首位レアル相手に、キックオフ前からまるで試合を捨てているかのような印象を与えていた。
攻撃陣で唯一ビジャレアル戦に続きスタメン入りした久保は、4-2-3-1の右サイドハーフで5戦連続の先発出場を果たした。また、この日は久保がサンティアゴ・ベルナベウで初めてプレーするとのことで、試合当日のスペイン紙でその特集が組まれ注目されていた。さらに試合開始前のメンバー発表時、久保の名前が呼ばれるとスタンドから将来のレアル候補生に期待を寄せる大きな拍手が起こっていた。
マジョルカは前半開始早々、最終ラインでガヤがボールをトラップした際に足を滑らせるという不運があり、ベンゼマに奪われ先制点を許す厳しい状況となったが、久保がその直後にいきなり見せ場を作った。同5分、右サイドに大きく開いてサイドチェンジのボールを巧みなトラップで受けてDFミゲル・グティエレスをかわしシュートを打つが枠に飛ばせず。同13分のボレーシュートは大きくゴール上を越えていった。そして同25分、イ・ガンインが中央突破し、レアルDF陣を切り裂いて決めたマジョルカ唯一のゴールの起点となるが、チームが劣勢に陥ったため守備に追われる時間が長くなり、途中で右膝を負傷したため、ハーフタイムでの交代を余儀なくされた。その後、マジョルカは失点を重ね、クラブ史上の今世紀リーガで最多失点となる1-6の惨敗を喫し、3戦連続未勝利となった。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。