W杯“隔年開催案”にUEFAが反対の声明を発表 「大きな危険性がある」と問題点を列挙

W杯隔年開催案が波紋を呼んでいる【写真:Getty Images】
W杯隔年開催案が波紋を呼んでいる【写真:Getty Images】

拡大路線を突き進むFIFAとの対立構造が鮮明に

 国際サッカー連盟(FIFA)が発したワールドカップ(W杯)の隔年開催案について、ボイコットすら示唆している欧州サッカー連盟(UEFA)が現地時間22日に声明を発表し、多くの問題点を列挙している。

 FIFAでは、テクニカル部門の要職にある元アーセナルや名古屋グランパス監督のアーセン・ベンゲル氏がW杯の隔年開催案を発表し、ジャンニ・インファンティーノ会長も様々な場面でそれを推進するコメントを発している。一方で反対意見も根強く、特にUEFAは強硬に反対している。

 そのUEFAは声明で、FIFAが発した「実現可能性」という言葉について、多くの要素が解決されていなければならないとしたうえで、「この計画には大きな危険性がある」と問題点を指摘している。

「4年に一度の世界最大のサッカーイベントの価値が薄れ、何世代にもわたってファンが育つ神秘性が失われること」

「通常の試合が決勝トーナメントに置き換えられることで、弱小国の機会が失われること」

「隔年で長い休養期間を設ける代わりに、夏に強度の高い競技を強いられることによる選手の健康面に対する持続可能性へのリスク」

「専用枠を奪われ、男子のトップイベントが近い時期にあるために影が薄くなってしまう女子トーナメントの将来へのリスク」

「これらは、FIFAの提案が一見して引き起こす深刻な懸念のほんの一部であり、決勝トーナメントのカレンダーが厚くなることの利点を示す根拠のない宣伝文句では払拭できない」

 その他にもUEFAは、「商業的な意味合いはほとんどないが、若い才能の育成には欠かせないユーストーナメントへの影響」と、年代別大会への影響を指摘。さらに、「世界的なスポーツシステムへの影響と、世界で最も支持されているスポーツであるサッカーが、他のスポーツが使用している統合された露出と利用の空間に敬意を示さなければならないこと」と、オリンピックや他競技の世界選手権の開催時期を念頭に置いたコメントも残している。

 2026年大会からW杯への出場枠が48カ国に増えるなど、拡大路線が止まることのないFIFAの方針だが、UEFAとの調整は完全な対立構造となっている。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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