日本代表の命運握る10月のW杯予選 森保Jに提案…勝負の「変則型ターンオーバー」
保守的な傾向のある森保監督、決断には覚悟が求められるが…
また9月の2試合で累積警告を受け、サウジアラビア戦の欠場が確定しているMF伊東純也(ヘンク)は早めに帰国し、国内組と一緒に調整すればオーストラリア戦に良い状態で臨めるだろう。2次予選のキルギス戦と親善試合のベネズエラ戦が複合的に組まれた2019年11月シリーズのように、一部の選手はそのまま欧州の所属クラブに帰してしまえば、代表ウィーク明けの競争でアドバンテージを得ることもできる。
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もちろん、23人を完全に入れ替える必要はない。キャプテンのDF吉田麻也(サンプドリア)や主軸として欠かせない冨安、MF遠藤航(シュツットガルト)といったメンバーだ。彼らはサウジアラビア戦のメンバーから一部は森保監督とともに帰国し、国内調整組に合流してオーストラリア戦に臨む流れになる。こうしたプランを組むメリットは、コンディション面はもちろん、メンバー選考の幅を広げ、より多くの選手が主力として試合に関われることで、後半戦やさらに先を見据えた選手層の拡大、競争の活性化にもつながるはずだ。
そうしたプランから欧州組、国内組を合わせると少なく見積もっても30人前後にはなってくるが、それだけの選手がA代表のメンバーとして強く意識できるうえに、9月に起きたような途中離脱に備えたリスクマネジメントにもなる。一番大事なのはこのシリーズでサウジアラビア 、オーストラリアに勝ち切ること。そのために最良のプランを取るなかに、長期的なメリットも加えられたら説得力が増す。
ただ、これまでの常識にとらわれないプランでもあるだけに、結果に対する責任はより重くなるかもしれない。森保監督は選手選考などでも、良くも悪くも保守的な傾向が強く、こうしたプランに踏み出すにはかなりの覚悟が求められるだろう。しかし、本当に大事なのは代表チームやJFAのメンツではなく、最終予選で勝つために少しでも効果的なプランを取ることだ。
そこは反町康治技術委員長の決断とバックアップも必要になるが、本当にそうしたプランを取る覚悟を見せるならば、筆者としても微力ながら支持したいと考えている。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。