「フィジカルだけじゃ厳しい」ボスニアの巨漢FWに競り負けた吉田が失点回避の鍵に挙げたのはまさかの“他力本願プラン”
競り合う回数を減らすために同僚に奮起求める
最終ラインで巨漢に毎回勝つことは難しい。ならば、競り合う回数を減らして失点のリスクを軽減するという、前線や中盤に縦パスを出させないことを要求した。ストッパーとしてはいささか残念な「他力本願」を強調した。
主将のMF長谷部誠(フランクフルト)は明確に守備陣にダメを出した。
「自分たちのDFはセットプレーや得点シーンで簡単にやられている。今すぐに体を大きくしろと言われても無理だけど、連動した守備をしないといけない」と、体格に勝るFWに対しての守備を大きな課題として挙げた。189センチと日本代表の中では長身DFの吉田だが、世界に目を向ければセンターバックとしては平均的な体格に過ぎない。ジュリッチは199センチと、単純な身長では10センチ相手が勝った。そうした相手FWが存在する状況は、今後も間違いなく訪れる。
欧州移籍前は名古屋グランパスでプレーしていた吉田は、Jリーグでも長身FWに苦戦している事実があることを指摘している。そして、イングランドでプレーする現在、今回のジュリッチのような選手を抑えられなければ生き残れないと危機感を持っているようだ。
「実際にJリーグでも身長の高い選手は得点ランキングで上位にいますし、シモビッチだったり、ヨンセン、ケネディ、ワシントンとかそういう選手に日本の選手は後手を踏むことが多いんで、それも含めてそういう選手たちとどんどん戦ってかなきゃいけないと思います。僕もそうですけど、今日の選手もイングランドでは決して強い方の選手ではないのでしっかり止められるようにならないと、生き残っていくことすら難しいと思います」
日本を相手に2ゴールを挙げた巨人も、ヨーロッパではイタリア・セリエBのチェゼーナでプレーする選手だ。現時点で世界トップから程遠いステージで戦っているが、吉田は手も足も出なかった。
体格差をいかにして克服するかは、日本サッカー永遠の課題ともいわれる。守備の最後のところで長身FWと戦う役割を与えられる吉田は致命的なミスと脆弱性を隠しきれない。プレミアリーグ、そして、ハリルジャパンで生き残っていけるのだろうか。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images