“CL王者”チェルシー、ピンポイントで大型補強 5季ぶりプレミア制覇狙える戦力充実度
【欧州ビッグクラブ補強総括】チェルシー(昨季プレミアリーグ4位:19勝10分9敗/58得点・36失点)
【戦力充実度】
FW:★★★★★★★★【8】
MF:★★★★★★★★★【9】
DF:★★★★★★★★【8】
GK:★★★★★★★★★【9】
※10段階評価
【主な新加入選手】
FW
ロメル・ルカク(←インテル)
MF
サウール・ニゲス(←アトレティコ・マドリード/期限付き移籍)
GK
マーカス・ベッティネッリ(←フルハム)
ルカクが復帰、移籍市場最終日にはサウールを期限付き移籍で獲得
昨季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)王者は数こそ多くはないが、ピンポイントでの大型補強を実現させている。トーマス・トゥヘル監督率いる“ブルーズ”は、5季ぶりとなるプレミアリーグ制覇も十分狙えるだけの戦力充実度と言っていいだろう。
特筆すべきはもちろん、ベルギー代表FWロメル・ルカクの復帰だ。2011年にアンデルレヒトから鳴り物入りで加入した当時は出番を得られなかったが、エバートン、マンチェスター・ユナイテッド、インテルでのプレーを経験し、格段のスケールアップを遂げてスタンフォード・ブリッジに帰還。イタリアでは2シーズンで95試合64得点をマークした。チェルシーは年間30得点を保証する頼れるストライカーを手に入れた。第2節のアーセナル戦(2-0)でチェルシーでの初ゴールをマークするなど、早速結果も出している。
中盤には移籍市場最終日にアトレティコ・マドリードからスペイン代表MFサウール・ニゲスを補強。近年は左サイドバックで起用されるなど便利屋的な使われ方もしてきたが、元来は攻撃センスに優れたMF。本来のポジションで起用してくれるクラブへの移籍を望んでいたと明かしており、北ロンドンに活躍の場を求めた。イングランド代表MFメイソン・マウントやイタリア代表MFジョルジーニョ、フランス代表MFエンゴロ・カンテらトップクラスのタレントが揃う中盤に厚みを加えてくれる存在として期待大だ。
選手の入れ替わりは少なく、トゥヘル監督体制も2年目でチームは成熟のフェーズに入る。昨シーズンのCL制覇で選手たちは自信を深めているはずで、今季のプレミアリーグで優勝候補といっても過言ではないだろう。
充実の戦力のなかで不安要素を強いて挙げるとすれば、“ルカク依存”に陥ることなく戦えるかどうか。ルカクが加入早々に前線の絶対的な基準点となったが、それは裏を返せばピッチに彼がいる時とそうでない時にチームとしての戦い方が大きく変わらざるを得ないということ。フランス代表FWオリビエ・ジルー(→ACミラン)とイングランド代表FWタミー・アブラハム(→ローマ)の退団でFWの頭数は減っているだけに、ルカクにもしものことがあった際に戦術家トゥヘルはどのような戦術を用いるのか。その対応力が、チームの浮沈の鍵を握ることになるだろう。