“中国版カンテ”抜擢は要警戒 敵将の3つの戦術ポイントから探る攻略法は?
“中国版カンテ”ことチ・チョグオのプレスを鎌田・久保がかわせるか
■リー・ティエ監督の戦術2:バルセロナ型の中盤が失敗。“中国版カンテ”を投入か?
リー・ティエ監督はオーストラリア戦で、セルヒオ・ブスケッツ、シャビ、アンドレス・イニエスタのバルセロナのように、アンカー1枚の4-1-4-1システムを採用しました。アンカーにキャプテンのMFウー・シー、トップ下2枚にMFチャン・シージャーとMFジン・ジンダオという布陣でしたが機能せず。後半からチャン・シージャーに代わって元シャルケ所属のベテランMFハオ・ジュンミン、そしてジン・ジンダオに代えて左利きのMFイン・ホンボを投入。しかし、結果的に最後まで中盤の守備が不安定なままでした。
これに対し、元中国代表FWシュー・ヤンも試合後、「ウー・シーの横スペースが空きすぎていた」と述べるなど、中盤のディフェンスが中国最大の問題となりました。
日本代表もここを突きたいところですが、リー・ティエ監督も敗戦を受け、中盤にテコ入れをするのは確実。特に、“中国版カンテ”の愛称を持つMFチ・チョグオを起用し、ボランチ2枚の形に変更すると目され、中国スポーツ紙「タイタン・スポーツ」は「リー・ティエ監督とチ・チョグオが個別で話し合い」と伝えています。チ・チョグオが出てきた場合、日本のトップ下に入る鎌田大地選手や久保建英選手が、彼のプレスをかわしチャンスを作れるか、中盤の重要な戦いになります。
■リー・ティエ監督の戦術3:不安定な右サイドバック
中国はオーストラリア戦で、相手FWアワー・メイビルの岡崎慎司選手を彷彿とさせる左から中央へのダイアゴナルランに苦しみました。もともと中国の右サイドバックは1次予選がミン・ティエン、2次予選はタン・ミャオが出場していましたが、両者とも怪我で離脱。それ以降は安定した右サイドバックが不在となり、オーストラリア戦で先発したチャン・リンペン、途中出場のワン・ガンも良いパフォーマンスとは言えませんでした。
彼らと対峙する日本の左サイドは、南野拓実選手が怪我で離脱となってしまい、原口元気選手か古橋亨梧選手になるかと思いますが、彼らがオーストラリアのようにダイアゴナルランを連続することができるか。そこが攻撃の突破口となるはずです。
逆に中国の強みとしては、エースFWのウー・レイが右サイドにいますので、彼を支える右サイドバックがうまく安定し、ウー・レイとのコンビネーションが機能し始めると、日本にとっては非常に厄介になってきます。
久保田嶺
1991年生まれ、埼玉県出身。「Rouse Shanghai Co.,Ltd.」代表。日系企業の中国インバウンド事業やマーケティング、中国サッカー選手/指導者のマネージメントを手掛ける。自身の中国SNSフォロワー数も40万人と中国サッカー界で一番有名な日本人としても活躍。日本へ中国サッカー情報を発信する。