森保采配は「保守的」 英記者、“最大の欠点”を指摘「同じ選手への依存度が高い」

もっと視野を広げて、違う選手にも目を向けるべき

 また、堂安律と久保建英の2人を先発で起用しなかったことも、日本の創造性と狡猾さを失わせる原因となった。彼らも東京五輪を戦ったことは事実であり、疲労は考慮されるべき事案だっただろう。しかし、DFたちではなく、クリエイティブな選手たちに異なるアプローチを取った理由は分からない。

 もちろん、日本はクリエイティブなポジションの選手層が厚い。だが、森保監督は見当違いの選手たちを信頼したように映った。伊東純也は途中出場でこそ生きる。制御困難な動きやスピードは、疲れ切った相手にとって脅威となるが、彼は先発に入る器ではない。また、原口元気の起用に至っては意味不明だ。

 そして、ピッチに入らなかった選手や招集さえされなかった選手たちは、どうだっただろうか。橋岡大樹は、酒井に休養を与えるために呼ばれてもよかったはずだ。東京五輪で遠藤航と抜群の相性を見せた田中碧は、招集の価値さえも見出せてもらえなかった。

 攻撃的なポジションで言えば、三好康児や三笘薫といった選手たちはどうしたのだろう。 あれだけの才能があるのに、三笘は東京五輪を通じて森保監督に冷遇される様子を目にした。そして最後のメキシコ戦では、若き才能の反論を目撃している。

 もし、森保監督が選手に休みを与えたかったのであれば、それができるだけの選手はそろっている。そして、伊東と原口は解決策にはならなかった。森保監督の最大の欠点は、同じプレーヤーたちを信頼しきり、それらの選手への依存度が高くなることだ。

もっと視野を広げて、古い慣習や彼のスタイルに合っていた選手から離れて、招集した選手、あるいは今後招集できる選手に目を向ける必要がある。求められている結果に対して、何をしなければいけないかを見直さなければいけない。

 これは彼の哲学に反することかもしれない。だが、森保監督はハンドブレーキを外す必要がある。チームに創造性を加えることを、恐れてはならない。これまでの実用的かつ保守的なやり方を捨てて、日本代表に用いることができる才能を引き出しあえるスタイルを模索するべきだ。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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