「“王様”のような振る舞い」では勝てない オマーン戦出場14人を金田喜稔が採点
W杯アジア最終予選の初戦で黒星スタート、鎌田の「テンションの低さが気になった」
日本代表は2日、カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選初戦でオマーンと対戦し、ホームで0-1と敗れた。雨が降りしきる劣悪なピッチコンディションのなか、日本は思うように決定的なシーンを作れず、相手のカウンターからピンチを迎える展開に。スコアレスのまま推移した後半43分、左サイドを突破されると鋭いクロスから決勝点を奪われた。
7大会連続のW杯出場に向けてまさかの黒星スタートとなった一戦を、識者はどのように見たのか。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、この試合に出場した14選手を5段階(5つ星が最高、1つ星が最低)で採点。「攻守の切り替えの早さ、ハードワーク、局面の1対1で負けない、闘う気持ちといった森保監督のチームのベースが、根底から崩れている試合を初めて見た」と、チーム全体が低調なパフォーマンスだったと指摘したうえで、足下でボールをもらうプレーが多かったMF鎌田大地には「“王様”のように振る舞っていた」と厳しく指摘した。
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<FW>
■大迫勇也(ヴィッセル神戸)=★★
オマーンのCBコンビとアンカーに徹底的にマークされるなか、足下に収めて周囲を生かすシーンも見られたが、90分を通して苦しいプレーを強いられた。特にフィニッシュの局面にはほとんど顔を出せず、シュートは後半20分にペナルティーエリア手前の左サイドから放った1本のみ。ピッチコンディションも影響したのか、シュートの前段階でのコントロールミスもあるなど、相手の脅威になれなかった。
<MF>
■原口元気(ウニオン・ベルリン/→ハーフタイムOUT)=★★
今季移籍したウニオン・ベルリンで開幕からレギュラーとして出場し、アシストもマーク。欧州からの長距離移動があったとはいえ、心身のコンディションが決して悪くないなかでの一戦で原口らしさが見えなかった。縦に仕掛けてスピードで抜けるわけでもなく、中に切り込む得意の形でも相手に体を寄せられて奪われるシーンが散見された。右サイドの伊東が持った時など、原口の前方には広大なスペースがあったが、チームとして生かすシーンが少なく、同サイドの長友やボランチとの連係によって打開する場面もほとんどなかった。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。