川崎&横浜FM「2強体制」の行方は? Jリーグ史に残る優勝争い「デッドヒート3選」

2017年に悲願の優勝を果たした川崎フロンターレ【写真:Getty Images】
2017年に悲願の優勝を果たした川崎フロンターレ【写真:Getty Images】

上位がハイレベルな戦いを演じた印象的なシーズンを回顧、2011年は三つ巴の争い

 今シーズンのJ1リーグは、川崎フロンターレと横浜F・マリノスの“2強”状態になっている。25日には横浜FMが上位のサガン鳥栖にアウェーで4-0と大勝した一方で、川崎はアビスパ福岡に0-1で敗れた。残り12試合で勝ち点差はわずか「1」になっている。

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 ここからどういう展開になっていくのか注目だが、過去にも「2強」及び「3強」によるデッドヒートが繰り広げられたシーズンがある。今回はJリーグの歴史における、代表的なデッドヒートをピックアップした。

■1998年2ndステージ:鹿島アントラーズ&ジュビロ磐田

 2ステージ制だった時代だが、終盤のデッドヒートが記憶に残るシーズンとなった。1stステージは第13節の時点までジュビロ磐田、清水エスパルス、鹿島アントラーズ、川崎フロンターレ、横浜マリノス(この年の2ndステージ終盤に横浜フリューゲルスとの吸収合併を発表)の5チームが勝ち点で並んでいたが、残りの試合で磐田と清水が抜け出し、最後は勝ち点39同士ながら得点王となる中山雅史を擁した磐田が、得失点差で上回ってステージ優勝を果たした。

 2ndステージは途中まで勝ち点の詰まった混戦だったが、1st王者の磐田とリベンジを狙う鹿島が終盤にデッドヒートを繰り広げた。天王山となったのは第15節の直接対決で、鹿島がマジーニョのゴールを粘り強く守り切ると、そのまま磐田の追撃を振り切ってステージ優勝し、年間王者を決めるチャンピオンシップへ。2戦合計4-2で鹿島が磐田に勝利し、栄冠を飾った。

■2011年:柏レイソル&名古屋グランパス&ガンバ大阪

 三者が終盤まで激しい優勝争いを演じたのが、2011年だった。東日本大震災が起き、大幅な日程変更もあったなかで昇格組の柏レイソルと名古屋グランパス、ガンバ大阪が4位以下を10ポイント以上引き離す大混戦となった。

 序盤戦で快調なスタート奪取を切ったのは被災地の希望を背負うベガルタ仙台で、12戦無敗と快進撃を続けたが、13試合目以降に失速。それでも巻き返して4位に食い込む健闘を見せた。中盤戦までは横浜F・マリノスも優勝争いに加わっていたが、後半戦で脱落すると柏、名古屋、G大阪がハイペースに勝ち点を重ねて、首位の柏、2位の名古屋、3位のG大阪がそれぞれ勝ち点「1」差で接近。優勝決定は最終節にもつれ込んだ。

 名古屋はアルビレックス新潟、G大阪は清水エスパルスに勝利。自力優勝の権利があった柏は浦和レッズを相手に、ジョルジ・ワグネルがレアンドロ・ドミンゲスのシュートがポストに当たったこぼれ球を押し込み先制ゴールを挙げる。さらにCKから橋本和が追加点。後半に柏木陽介のゴールで1点を返されるも、再びCKの流れからアカデミー育ちの茨田洋生が貴重な3点目を決めて3-1で勝利した。ネルシーニョ監督は最終節も、普段通りのサッカーができたことを強調していた。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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