久保建英は「非常にエレガント」 現地記者が高評価も“注文”「もっとゴールに…」
【スペイン発コラム】敵地アラベス戦を現地取材、今季初スタメンで随所に持ち味発揮
マジョルカに期限付き移籍で復帰した日本代表MF久保建英が、スペイン3シーズン目をスタートした。
わずか1年でリーガ・エスパニョーラ1部返り咲きを果たしたマジョルカは今夏、多数の選手の入れ替えが行われ、久保や昨季のビジャレアルでのチームメートであるDFハウメ・コスタ、FWフェル・ニーニョ、ヘタフェで同僚だったFWアンヘル・ロドリゲスなど8選手が入団したものの、チームのベースは大きく変わっていない。
その状況下で久保はベティスとの開幕戦に、加入わずか4日目でいきなり途中出場を果たす。ルイス・ガルシア監督は試合後、久保のポジションについて「右サイドか中央、タケが最もやりやすい場所で起用するつもりだ」と明言し、「チームで重要な選手になれると思うし、我々に大いに貢献してくれるはず」と大きな期待を寄せていた。
続く第2節の敵地アラベス戦、スペイン各紙にベンチスタートと予想されたが、指揮官が開幕戦から先発3人を入れ替えたなか、スタメンに名を連ね、4-2-3-1のトップ下で起用された。アラベスには今季、FW原大智が加入しており日本人対決の可能性もあったが、期限付き移籍が濃厚でメンバーから外れたため実現しなかった。
前半、サポーターの後押しを受けたアラベスが主導権を握り、久保は守備に追われる時間が長くなった。そんななかでも同8分にMFイニゴ・ルイス・デ・ガラレタの惜しいシュートの起点となるドリブルを仕掛け、同38分には相手DFフロリアン・ルジューヌに素晴らしいプレスをかけてボールを奪い、抜ければGKと1対1という決定機をファウルで止められた。指揮官は試合後、この場面について「タケがレッドカードを出されるべきチャンスだと怒っていた」と明かしていた。
後半、アラベスが退場者を出したこともあり、久保は徐々に自由を得られるようになっていった。ゴールにはつながらなかったものの、積極的にドリブルを仕掛け、スルーパスを狙い、選手交代により途中から右サイドに主戦場を移し、同43分にピッチを退くまで随所に持ち味を発揮した。また交代時、スタンドにいたアラベスサポーターの子供にユニフォームをプレゼントするシーンも見られた。
マジョルカが1-0と勝利を収めた試合後、スペイン紙「マルカ」は久保の序盤のパフォーマンスについて、「ゲームにリズムがないなか、久保と(アラベスの)マヌ・ガルシアだけが輝きを放ち、ボールが足元を通過するたびに局面を大きく変えた」と両チームのトップ下を称賛するも、久保の採点は1点(最高3点)とやや厳しい。一方、スペイン紙「AS」は2点(最高3点)の評価だった。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。