44歳でも現役続行に意欲 ブラジル人元Jリーガーが日本で学んだ“サムライ魂”
日本での愛称「サムライ」がブラジルに戻って以降も定着
そう謙虚に語る彼を、サポーターは「サムライ」と呼んだ。
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「そのニックネームを、すごく気に入っていた。実際、サムライ文化はずっと好きだったんだ。己に打ち勝つ、逆境の中でも志を高く持つ、そういうサムライ魂を尊敬している。ビデオゲームでもサムライの出るものをよくやっていたほどで(笑)、それを知ったサポーターたちが、僕を“サムライ”と呼び始めたんだ。それが、周りから見た印象にもフィットしたんだろうね。ブラジルに戻っても、今までずっとサムライと呼ばれている。家にサムライの刀を飾っているんだ。武具や武装もある。日本での思い出でもあるからね。サムライと呼ばれて親しまれ、応援してもらった日々の記憶とともに、大切にしているよ」
ブラジルのサムライは現在、クラブにこそ所属していないものの、44歳の今も、現役続行に闘志を燃やしている。
「アトレチコ・ミネイロのあと、(2013年に)僕がプロとしての経歴を始めた古巣ゴイアスに行き、最後は僕の地元ペルナンブーコ州のセントラルでプレーした。その後は、ここぞと思えるオファーが届かなくてね。もちろん、40歳を過ぎれば、コンディション的に難しい国やクラブもあるだろう。でも、まだプレーできる。実際、こうしてトレーニングを続けていれば、僕のコンディションを確認して、オファーしてくれるところは、時々出てくるんだ。ゴイアス復帰のオファーも来たんだけど、2カ月間の契約だった。以前所属していた時のようにプレーし、期待に応えるのは、少なくとも1年間はないと難しい。
それに、サッカーのレベルや金銭面にかかわらず、その国やクラブのプロジェクトを手助けするなど、違った目標を見出せるオファーも、興味深い。だから、トレーニングを続けているんだよ。日本でやっていたトレーニング方法なども、よく取り入れている。そして、日本人選手たちと同じような、献身的な姿勢を持ってね」
藤原清美
ふじわら・きよみ/2001年にリオデジャネイロへ拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特に、サッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のテレビ・執筆などで活躍している。ワールドカップ6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTubeチャンネル『Planeta Kiyomi』も運営中。