44歳でも現役続行に意欲 ブラジル人元Jリーガーが日本で学んだ“サムライ魂”

G大阪などで活躍したブラジル人ストライカーのアラウージョ【写真:Getty Images】
G大阪などで活躍したブラジル人ストライカーのアラウージョ【写真:Getty Images】

【あのブラジル人元Jリーガーは今?】アラウージョ(元清水、G大阪):前編――スピードと決定力を武器に活躍

 2004年の清水エスパルス、05年のガンバ大阪とJリーグでのプレーはわずか2年間だったにもかかわらず、ブラジル人ストライカーのアラウージョは強烈な印象と記録を残した。

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「サムライ」のニックネームで愛されたアラウージョは現在、故郷であるブラジル北東部ペルナンブーコ州に住んでいる。新たなキャリアへの準備を進めるとともに、44歳の今もなお、現役への尽きることなき情熱を燃やし、トレーニングに励む日々を送っている。

 アラウージョはG大阪での2005年シーズンを終えた後、ワールドカップ出場の夢を追い、母国ブラジルでプレーするために日本を離れた。その夢こそ叶わなかったものの、クルゼイロやアトレチコ・ミネイロ、来日前の古巣ゴイアスなど、ブラジルのビッグクラブや、カタールのアル・ガラファで4年間を過ごすなど、38歳まで現役としてプレーを続けた。

「日本の2チーム以外で一番心に残るのは、ここブラジルのアトレチコ・ミネイロ。南米最高峰のクラブ選手権であるリベルタドーレス杯で優勝したんだ。僕もほとんどの試合に出て、貢献できた。それに、あのロナウジーニョ・ガウーショと一緒にプレーしたんだからね。僕のデビュー戦から、すでに特別な経験だった。ミナスジェライス州選手権のクラシコ、クルゼイロ戦。ロナウジーニョとの連携で、初ゴールを決めたんだ。ロナウジーニョと抱き合い、肩を組んで祝う映像や写真が、一斉に報道されたものだよ」

 日本でのアラウージョは、2005年にJリーグで33ゴール、ナビスコカップ(現ルヴァンカップ)で6ゴールと得点王を獲得する活躍のなかで、万能型FWとの評価が高かった。スピードに乗ったドリブルを得意とし、技術的なクオリティーも高い。ボールコントロールに長け、ファーストタッチでゴールを決められる。そして、アシストも多い。

 そんな彼が、これほど息長く現役を続けられたのは、日本での経験のおかげだと言う。

「僕のプレーの特長の一つは、スピードと決定力。そして、そのスピードを、チームの戦術やプレースタイルの中で生かすというのは、日本で学んだことだと言える。それに例えば、ボールを奪われても取り戻すためにすぐに動くとか、前線から守備もする、ほかの選手をサポートするなど、ブラジルではやっていなかったタイプの動き方も身に付けられた。それが、日本を去った後も、僕を大きく手助けしてくれた。日本に行って、僕のプロ人生は大きく変わった。すごく成長できたんだ」

藤原清美

ふじわら・きよみ/2001年にリオデジャネイロへ拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特に、サッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のテレビ・執筆などで活躍している。ワールドカップ6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTubeチャンネル『Planeta Kiyomi』も運営中。

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