サイドバックのプレー選択、「相手が嫌がる」走りとは? 福西崇史×小池龍太対談【前編】

福西崇史氏が「月間ベストアグレッシブプレーヤー」を選出【写真:荒川祐史】
福西崇史氏が「月間ベストアグレッシブプレーヤー」を選出【写真:荒川祐史】

「守備でも嫌がられる選手になることが一番大事」

福西 小池選手といえば、攻撃面でのイメージが強いと思いますが、守備のほうはどうですか?

小池 特に得意という形ではありませんが、相手のサイドハーフがやりたいこと、得意にしているプレーはやらせたくないです。基本的に目の前の選手にボールを持たせないことが、僕のルールというか、サイドチェンジのボールが来ても絶対に先に触りに行きますし、ボールを持たれた時は、厳しく削りにいくように取りに行く必要があると思っています。守備でも嫌がられる選手になることが一番大事かなと思っています。

福西 確かに。そのしつこさがどんどん増しているのでいいなと思っています。それによって立ち位置も変わってくると思うので、それを緻密にしていけば奪える機会も増えることで、攻撃の持ち味も出しやすくなるはずです。そこは取り組んでもらいたいなと思います。

小池 ぜひ、教えてください。

福西 今度、じっくり話しましょう(笑)。小池選手といえば、僕はもうインナーラップ、オーバーラップを含めて、その走りに特徴があると思っているのですが、走る自信はいつ付いたのでしょうか? 体力が凄いですよね。

小池 自信は特にないのですが、目の前にいる選手がプレーしやすいとか、なるべく選択肢を多く持ってプレーできる環境づくり、選択肢を増やせる走りができればという考えは常に持っています。逆に走らないことが、手助けになることもあります。柏でプレーしていた時は、伊東純也選手(現ヘンク)が前にいて、オーバーラップするよりも、早くボールを預けて離れることで、サイドバックと1対1を作って突破させるとか、前にいる選手によって、その選手がなるべく活躍できるシチュエーションをサイドバックの選手がどれだけ作れるかが、自分のなかの仕事だと思っています。前の選手のタイプに応じたプレーの使い分けと頑張って走ることは、僕のなかで大事にしています。

――試合後のスタッツを見ても、どの試合でも11キロ以上、多い時は12キロ以上も走っています。この数字というのは、意識されていますか?

小池 常にそれくらい走ってきたので、自分のなかではアベレージです。なので、1試合で12キロ走っても、疲れる度合いは変わりません。逆に試合に勝てば半減しますし、負ければ倍増する形です(笑)。

福西 頑張って走ろうとしても、普通はあんなに走れないですよ。僕もサイドバックやったことがありましたが、基本は上がらないやり方でした。いつも常に10キロいくかいかないかくらいでしたからね。

小池 いえいえ、ポジショニングの違いですよ。

福西 僕は、ジョギングで済ませられるポジションを取っていましたから(笑)。

小池 その上手さが欲しいです(笑)。

福西 今度、じっくりと教えますね(笑)。

(後編へ続く)

[プロフィール]
福西崇史/1976年9月1日生まれ、愛媛県出身。95年にFWとしてジュビロ磐田に加入すると、プロ入り後にボランチへコンバートされ黄金時代を迎えたチームの中盤を支えた。J1通算349試合62得点の成績を残し、Jリーグベストイレブンも4度受賞。日本代表としても国際Aマッチ64試合7得点を記録し、2002年日韓大会、06年ドイツ大会とワールドカップに2度出場した。04年アジアカップでは優勝を経験している。

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