「ベンチワークで負けていた」 五輪で失速した日本、闘莉王が采配の“問題点”指摘
【五輪経験者の視点】日本は選手交代の手を打つたびに「パフォーマンスが落ちていた」
東京五輪に出場したU-24日本代表は、1968年メキシコ大会以来のメダル獲得を目指したが、最終的に4位で大会を終えた。グループリーグ3連勝と最高のスタートを切ってベスト8に進出したものの、その後苦戦。準々決勝はニュージーランドに0-0からのPK戦勝利、準決勝ではスペインに延長戦の末に0-1で敗れ、53年ぶりのメダルを懸けた3位決定戦ではメキシコに1-3と完敗した。
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決勝トーナメントの3試合、合計330分間でわずか1ゴールと“急失速”した日本の戦いを、「Football ZONE web」で五輪期間中にスペシャルアナリストを務めた元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏が総括。メダル獲得を目前にしながら目標を達成できなかったチームについて、「決勝トーナメントではベンチワークで負けていた」と指摘している。
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今回の東京五輪は、メダル獲得の千載一遇のチャンスだったと思う。各国の代表チームがオーバーエイジ枠を含む選手の招集を巡り、所属クラブから供出拒否を受け、メンバーを揃えることが難しい状況で、日本はベストメンバーを揃えていた。
無観客開催によりホームの声援という後押しは手にできなかったが、開催国として地の利は間違いなくあった。日本の夏は陽が落ちても暑いし、湿度も高い。グループリーグ全勝で1位突破し、メダルへ最高の状況を自ら作り出した。素晴らしい戦いだっただけに、4位という結末は残念だ。
今回の日本代表で気になった部分は采配だ。特に決勝トーナメントに入ってから、森保一監督が途中交代の手を打つたびに、チーム全体のパフォーマンスが下がってしまった。振り返ってみると、選手の休養目的の交代が目立った印象がある。決勝トーナメントでは、ベンチワークに限界が見えた。
酷暑の日本で試合間隔の短い短期決戦。消耗戦になっていたが、相手チームが交代の手を打ってくると、パフォーマンスが上がってくる。一方、日本は手を打つたびにパフォーマンスが落ちる。これは問題ではないか。
準決勝ではスペイン相手にボールを支配されたが、日本もボールをある程度コントロールできるレベルに到達している。選手個々の差は縮まっているが、結局追い越すには至っていない。日本はある程度、自分たちのやりたいサッカーができるようになってきた。これからは駆け引き。相手が嫌がることをどんどんやっていかないといけない。この駆け引きの部分で、決勝トーナメントではベンチワークで負けていたと思う。