「疑問が残る」 森保監督の采配を金田氏が検証、東京五輪での戦いは「受け身すぎた」

対戦相手の上を行くような「能動的な変化がずっと見られていない」

 金田氏は、MF旗手怜央などのポジションのスライドはあったものの、試合中に行われる選手交代のほとんどは「同じポジションの選手の入れ替え」だったと指摘。またサンフレッチェ広島時代に主戦システムとし、五輪世代のチームでも試してきた3-4-2-1への変更も、試合展開に応じて柔軟にできるように準備できていれば、「もっと相手に対して先手を取る采配ができたはず」と振り返る。

「日本が主体的にメンバーやシステムを変更して、対戦相手の弱点を突き、一歩上へ行くような試合中の能動的な変化がずっと見られていない。いつも先に動くのは相手であって、もっと日本が主導権を取れるような采配があれば……と、今回の五輪でも感じた。

 それはなぜかというと、今の日本代表に集まっている個々の選手のレベルが非常に高いから。彼らを同じ方向に向けさせる戦略が2つ、3つと用意されていれば、もっと戦いの幅は広がる。ニュージーランド戦でもスペイン戦でもメキシコ戦でも、相手が変えてきても、日本は同じシステムで同じポジションの選手を入れ替えるだけ。いくら選手の経験値が昔に比べて高まっているといっても、ゲームの流れに応じた変化は選手ではできない。方向性を一つにするのが監督の仕事であり、それだけの引き出しを監督が持っていないと、選手の能力が犠牲になってしまう」

 五輪の激闘が終わったばかりだが、A代表も率いる森保監督は9月から、カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の戦いをスタートさせる。W杯を目指す戦いのなかで、“格上”である日本に対して各国が様々な対策をしてくることが予想され、困難な状況に直面する可能性も十分に考えられる。そうしたなかで、森保監督が試合中にどんな采配を振るい打開していくのか。最終予選の戦いに向けて、「日本サッカー協会の技術委員会も精査しながら、シビアに見なくてはいけない」と、金田氏は「W杯ベスト8」の目標に向かって、日本の戦いをしっかりと検証すべきだと提言している。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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